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April 7, 2005 Vol. 352 No. 14

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3 つの地域におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus Disease in Three Communities

S.K. Fridkin and Others

背景

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染が,確立された感染の危険因子をもたない患者で発生している.新たに発生したこの MRSA 感染症により,米国民にどのような負担がかかり,臨床にどのような影響が出るかは明らかではない.

方 法

ボルティモアとアトランタにおける地域住民をベースにした監視と,ミネソタの 12 ヵ所の病院における,病院検査室をベースにした定点監視で患者を同定し,MRSA 感染について評価した.情報は,患者との面接および診療録の再調査より得た.感染は,確立された危険因子が同定されない場合に,市中感染型 MRSA 感染症と分類した.

結 果

2001~02 年に,市中感染型 MRSA 感染症が 1,647 例報告された.これは MRSA 分離株全体の 8~20%に相当した.感染症の年間発生率は地域によって異なり(アトランタで人口 10 万人当り 25.7 例,対してボルティモアで 18.0 例),年齢が 2 歳未満の小児では 2 歳以上の小児および成人よりも有意に高く(相対リスク 1.51,95%信頼区間 1.19~1.92),また,アトランタでは黒人のほうが白人より有意に高かった(年齢補正相対リスク 2.74,95%信頼区間 2.44~3.07).症例の 6%は侵襲性であり,77%では皮膚および軟部組織に感染がみられた.MRSA の感染株は,処方された抗菌薬に耐性を示すことが多かった(73%).皮膚または軟部組織に感染のみられる患者では,感染株が耐性を示した治療は,患者の報告に基づく転帰の不良とは関連がないと考えられた.全体では,23%の患者が MRSA 感染により入院した.

結 論

市中感染型 MRSA 感染症は現在頻繁にみられ,深刻な問題となっている.とくに小児では,皮膚に感染がみられることが多く,入院する例も多い.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 1436 - 44. )