April 14, 2005 Vol. 352 No. 15
心不全の罹患率と死亡率に対する心臓再同期療法の効果
The Effect of Cardiac Resynchronization on Morbidity and Mortality in Heart Failure
J.G.F. Cleland and Others
心臓再同期療法は,左室収縮機能障害および心室同期不全(cardiac dyssynchrony)で心不全をきたした多くの患者で症状を緩和し,左室機能を改善する.われわれは,心不全の罹患率と死亡率に対する心臓再同期療法の効果を評価した.
左室収縮機能障害および心室同期不全が原因でニューヨーク心臓協会(New York Heart Association ; NYHA)分類 III 度または IV 度の心不全をきたし,標準的な薬物療法を受けていた患者を,薬物療法のみを行う群,または薬物療法と心臓再同期療法を併用する群に無作為に割付けた.主要エンドポイントは,全死因死亡ないし重大な心血管イベントにより予定外に入院するまでの期間とし,主な副次エンドポイントは全死因死亡とした.
計 813 例を組み入れ,平均 29.4 ヵ月追跡を行った.主要エンドポイントに達したのは,心臓再同期療法群で 159 例,薬物療法群で 224 例であった(39% 対 55%,ハザード比 0.63,95%信頼区間 0.51~0.77,P<0.001).死亡したのは心臓再同期療法群で 82 例,薬物療法群で 120 例であった(20% 対 30%,ハザード比 0.64,95%信頼区間 0.48~0.85,P<0.002).薬物療法と比較して,心臓再同期療法では,心室間の機械的遅延,収縮末期容積指数,僧帽弁逆流ジェット面積のいずれもが減少し,左室駆出率が増加し,症状と QOL が改善した(すべての比較で P<0.01).
心不全ならびに心室同期不全をきたした患者において,心臓再同期療法は症状と QOL を改善し,合併症と死亡リスクを減少させる.これらの利益は,標準的な薬物療法による利益に追加されるものである.このような患者には,心臓再同期装置の植込みを日常的に行う手技として考慮すべきである.
(本論文は,2005 年 3 月 7 日 www.nejm.org で発表された.)