April 21, 2005 Vol. 352 No. 16
冠動脈イベントの二次予防のためのアジスロマイシン
Azithromycin for the Secondary Prevention of Coronary Events
J.T. Grayston and Others
疫学研究,実験室での研究,動物実験,臨床研究から,肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)感染とアテローム形成のあいだに関連があることが示唆されている.冠動脈イベントの二次予防としての,1 年間のアジスロマイシン治療の有効性を評価した.
この無作為前向き試験では,安定冠動脈疾患と診断された患者 4,012 例を,週 1 回 1 年間のアジスロマイシン(600 mg)またはプラセボの投与に割付けた.試験参加者を,全米 28 ヵ所の臨床センターで平均 3.9 年間追跡した.
主要エンドポイントは,冠動脈性心疾患による死亡,非致死性心筋梗塞,冠血行再建術,不安定狭心症による入院から成る複合エンドポイントとした.主要エンドポイントは,アジスロマイシン投与群患者では 446 例,プラセボ投与群患者では 449 例に発生した.アジスロマイシン投与群では,プラセボ投与群と比較して,主要エンドポイントに関する有意なリスク低下は認められなかった(リスク低下 1% [95%信頼区間 -13~13%]).主要エンドポイントの各要素,全死因死亡,脳卒中のいずれについても,有意なリスク低下は認められなかった.性別,年齢,喫煙状況,糖尿病の有無,ベースラインにおける C. pneumoniae の血清学的状態のそれぞれについて被験者を層別化しても,結果に差異はみられなかった.
安定冠動脈疾患患者では,アジスロマイシンを週 1 回 1 年間投与しても,心イベントのリスクは変化しなかった.