April 21, 2005 Vol. 352 No. 16
急性冠症候群発症後の肺炎クラミジアに対する抗菌薬治療
Antibiotic Treatment of Chlamydia pneumoniae after Acute Coronary Syndrome
C.P. Cannon and Others
肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)は,アテローム斑内にみられ,この病原体に対する抗体価の上昇は,冠動脈イベントのリスク上昇と関連付けられている.予備研究では,抗菌薬治療により心血管イベントのリスクが低下する可能性が示唆されている.
二重盲検無作為プラセボ対照試験において,急性冠症候群による入院後 10 日以内の患者 4,162 例を組み入れ,C. pneumoniae に有効であることが知られている殺菌性抗菌薬,ガチフロキサシンによる長期治療の有効性を評価した.無作為化の 2 週間後に治療を開始し,ガチフロキサシン(400 mg)またはプラセボを最初の 2 週間は連日投与し,その後の試験期間中(平均 2 年間)は毎月 10 日間投与した.主要エンドポイントは,全死因死亡,心筋梗塞,再入院を必要とする不安定狭心症の診断,血行再建(無作為化後 30 日以降に実施),脳卒中から成る複合エンドポイントとした.
Kaplan-Meier 解析の結果,2 年の時点での主要エンドポイントのイベント発生率は,ガチフロキサシン群で 23.7%,プラセボ群で 25.1%であった(ハザード比 0.95,95%信頼区間 0.84~1.08,P=0.41).また,あらかじめ規定した副次的エンドポイントや,C. pneumoniae 抗体価,C 反応性蛋白値の上昇した患者を含めたサブグループ解析においても,利益は認められなかった.
C. pneumoniae に対して有効な殺菌性抗菌薬を用いて長期間治療しても,心血管イベントの発生率は減少しなかった.