大腸腫瘍のリスクが平均的な女性における全大腸内視鏡スクリーニング
Colonoscopic Screening of Average-Risk Women for Colorectal Neoplasia
P. Schoenfeld and Others
退役軍人局共同研究 380(VA Cooperative Study 380)によって,男性の進行大腸腫瘍(直径 1 cm 以上の腺腫,絨毛腺腫,高度異形成を伴う腺腫,癌など)には,軟性 S 状結腸鏡検査では見落されるが,全大腸内視鏡検査では検出できるものもあることが示された.並行研究において,われわれは,女性を対象に大腸内視鏡スクリーニング検査の検出率を調べた.
進行腫瘍の有病率と部位を明らかにするため,結腸癌スクリーニングを受けるよう紹介されてきた無症候の連続した女性に,全大腸内視鏡検査を勧めた.軟性 S 状結腸鏡検査の診断率は,軟性 S 状結腸鏡検査のみを受けた場合に病変が同定されたと考えられる進行腫瘍患者の割合を推定することによって算出した.病変は,遠位結腸にある場合,または遠位結腸に小さな腺腫をもつ患者の近位結腸にある場合(全大腸内視鏡検査にいたったと考えられる所見),軟性 S 状結腸鏡検査によって検出可能と見なした.この結果を,VA 共同研究 380 から得られた,便潜血反応陰性で結腸癌の家族歴のない,年齢をマッチさせた男女に関する結果と比較した.
1,463 例の女性で全大腸内視鏡検査を終了した.うち 230 例(15.7%)には結腸癌の家族歴があった.全大腸内視鏡検査により,72 例(4.9%)で進行腫瘍が検出された.軟性 S 状結腸鏡検査のみを行っていたとするならば,進行腫瘍は 1.7%の女性(1,463 例中 25 例)で検出され,3.2%の女性(1,463 例中 47 例)では見落されていたことになる.軟性 S 状結腸鏡検査のみを受けた場合,進行腫瘍の女性患者では 35.2%でしか病変が確認されなかったことになるのに対し,VA 共同研究 380 のマッチした男性では 66.3%で確認されたことになる(P<0.001).
全大腸内視鏡検査は,女性における大腸癌のスクリーニング法として,より望ましい方法であると考えられる.