January 20, 2005 Vol. 352 No. 3
うっ血性心不全に対するアミオダロンと植込み型除細動器の比較
Amiodarone or an Implantable Cardioverter–Defibrillator for Congestive Heart Failure
G.H. Bardy and Others
うっ血性心不全(CHF)患者では,依然として,心臓が原因の突然死が主な死因である.アミオダロンまたは植込み型除細動器(ICD)を用いた治療により,CHF 患者の予後が改善することが提唱されている.
ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association; NYHA)分類 II 度または III 度の CHF で,左室駆出率(LVEF)が 35%以下の患者 2,521 例を,CHF に対する従来の治療+プラセボ投与(847 例),従来の治療+アミオダロン投与(845 例),従来の治療+慎重に作動するようプログラムし,ショック時のみ作動するリード線 1本の ICD(患者 829 例)のいずれかに無作為に割付けた.プラセボとアミオダロンは二重盲検で投与した.主要エンドポイントは全死因死亡とした.
患者の LVEF の中央値は 25%であった.患者の 70%が NYHA 分類 II 度,30%が NYHA 分類 III 度の CHF であった.CHF の原因は,虚血性が 52%,非虚血性が 48%であった.追跡期間の中央値は 45.5 ヵ月であった.死亡したのは,プラセボ群で 244 例(29%),アミオダロン群で 240 例(28%),ICD 群で 182 例(22%)であった.プラセボと比較して,アミオダロンは同程度の死亡リスクと関連しており(ハザード比 1.06,97.5%信頼区間 0.86~1.30,P=0.53),ICD 治療は,死亡リスクの 23%の低下(0.77,97.5%信頼区間 0.62~0.96,P=0.007)および集団全体の 5 年死亡率の 7.2 パーセントポイントの減少と関連していた.結果は,CHF の原因が虚血性か非虚血性かで差はなかったが,NYHA 分類による差は認められた.
NYHA 分類 II 度または III 度の CHF で,LVEF が 35%以下の患者においては,アミオダロンは生存に有益な効果をもたらさない.一方,リード線 1本の,ショック時のみ作動する ICD 治療により,全死亡率が 23%減少する.