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January 20, 2005 Vol. 352 No. 3

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潰瘍出血の再発予防を目的としたクロピドグレル療法とアスピリン+エソメプラゾール併用療法の比較
Clopidogrel versus Aspirin and Esomeprazole to Prevent Recurrent Ulcer Bleeding

F.K.L. Chan and Others

背景

潰瘍のリスクがあるアスピリン投与患者では,プロトンポンプ阻害薬を併用投与するのが標準療法である.最近の米国のガイドラインでも,胃腸において重度のアスピリン不耐性を示す患者にクロピドグレル(clopidogrel)を推奨している.われわれは,高リスク患者を対象に,潰瘍からの出血の再発予防を目的とした,クロピドグレル療法とアスピリン+エソメプラゾール(esomeprazole)併用療法を比較した.

方 法

血管疾患を予防するためにアスピリンの投与を受け,潰瘍出血をきたした患者を対象に試験を行った.潰瘍の治癒後,Helicobacter pylori 陰性の患者を,12 ヵ月にわたり 1 日75 mg のクロピドグレル+1 日 2 回のエソメプラゾールのプラセボの投与,または 1 日 80 mg のアスピリン+1 回 20 mg,1 日 2 回のエソメプラゾールの投与のいずれかに無作為に割付けた.エンドポイントは潰瘍出血の再発とした.

結 果

患者 320 例を組み入れた(クロピドグレル投与群 161 例,アスピリン+エソメプラゾール併用投与群 159 例).潰瘍出血の再発は,クロピドグレル群では 13 例に発生し,アスピリン+エソメプラゾール群では 1 例に発生した.再発性出血の 12 ヵ月間の累積発生率は,クロピドグレル投与群で 8.6%(95%信頼区間 4.1~13.1%),アスピリン+エソメプラゾール投与群で 0.7%(95%信頼区間 0~2.0%)であった(差 7.9 パーセントポイント,差に対する 95%信頼区間 3.4~12.4,P=0.001).

結 論

アスピリン誘発性の潰瘍出血の既往があり,試験治療を受ける前に潰瘍が治癒していた患者では,潰瘍出血の再発予防において,アスピリン+エソメプラゾールの併用療法はクロピドグレル療法よりも優れていた.この知見は,胃腸において重度のアスピリン不耐性を示す患者にはクロピドグレルを投与するという,現在の勧告を支持するものではない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 238 - 44. )