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March 3, 2005 Vol. 352 No. 9

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アルツハイマー病と UBQLN1 遺伝子変異の家族ベースでの関連性
Family-Based Association between Alzheimer's Disease and Variants in UBQLN1

L. Bertram and Others

背景

最近の解析で,既知のアルツハイマー病遺伝子では,この疾患の遺伝分散を半分も説明できないことが示唆されている.ユビキリン 1(ubiquilin 1)をコードする遺伝子(UBQLN1)は,いくつかあるアルツハイマー病の候補遺伝子の 1 つで,染色体 9q22 上でよく確立した連鎖ピーク(linkage peak)の近傍に位置する.

方 法

米国国立精神衛生研究所(NIMH)のサンプルから得た,アルツハイマー病患者のいる 437 の多発家系(1,439 例)において,染色体 9q 連鎖領域に存在する 3 つの遺伝子の 19 の一塩基多型を評価した.次に,独立して同定された,アルツハイマー病について一致しない同胞 217 組(アルツハイマー病遺伝学共同研究 [Consortium on Alzheimer's Genetics: CAG] のサンプル;489 例)において,陽性の結果を示す一塩基多型を調査した.また,アルツハイマー病患者 25 例と対照 17 例から採取した脳組織において,関与する一塩基多型の,機能への影響を評価した.

結 果

NIMH のサンプルにおいて,アルツハイマー病と UBQLN1 遺伝子の複数の一塩基多型とのあいだに有意な関連性がみられた.CAG のサンプルでもこの関連性が確認された.両方のサンプルにおいて,リスクをもたらすハプロタイプは,エクソン 8 の下流に位置するイントロンに存在する,単一の一塩基多型であることが明らかになった.このリスク対立遺伝子は,アルツハイマー病患者の脳標本から抽出した RNA において,選択的スプライシングを受けた UBQLN1 遺伝子(エクソン 8 が欠損)の転写が用量依存的に増加していることと関連していた.

結 論

今回の知見から,染色体 9q22 上の UBQLN1 の遺伝子変異は,アルツハイマー病のリスクを大きく上昇させることが示された.これはおそらく,脳における UBQLN1 遺伝子の選択的スプライシングに影響を及ぼすことが原因であると考えられる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 884 - 94. )