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March 3, 2005 Vol. 352 No. 9

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1991~2002 年に開始された癌の第 1 相臨床試験のリスクと利益
Risks and Benefits of Phase 1 Oncology Trials, 1991 through 2002

E. Horstmann and Others

背景

癌の第 1 相臨床試験に関するこれまでの総説では,治療奏効率は 4~6%,毒性に関連した死亡率は 0.5%と報告されている.この結果には,現在行われている癌の第 1 相臨床試験の数値が反映されていない可能性がある.

方 法

米国国立癌研究所の癌治療評価プログラム(Cancer Therapy Evaluation Program)が助成し,1991~2002 年に開始された,小児科を除くすべての癌の第 1 相臨床試験を再調査した.治療奏効率,安定率,グレード 4 の毒性事象の発生率,治療に関連した死亡率を報告する.

結 果

11,935 人を対象とした 460 件の臨床試験を分析した.全例を毒性について評価し,うち 10,402 例は治療への反応についても評価した.全奏効率(完全寛解と部分寛解を合せた割合)は 10.6%であったが,試験ごとに大きなばらつきがみられた.1 種類の化学療法剤のみで試験を行った「古典的な」第 1 相臨床試験は全試験のわずか 20%を占めるにすぎず,奏効率は 4.4%であった.米国食品医薬品局から承認を受けた抗癌剤を少なくとも 1 種類使用した臨床試験が全体の 46.3%を占め,奏効率は 17.8%であった.さらに 34.1%の被験者が安定,または部分寛解に満たない状態であった.毒性事象に起因する全死亡率は 0.49%であった.グレード 4 の毒性事象に関する個別のデータが得られた 3,465 例のうち,14.3%にグレード 4 の毒性事象が 1 回以上発現していた.

結 論

癌の第 1 相臨床試験における全奏効率は,古典的な第 1 相臨床試験については変化がないものの,以前に報告された数値よりも高い.また,毒性に関連した死亡率には変化がみられていない.しかし,反応率や毒性の発生率は,癌の第 1 相臨床試験の種類によって異なっている.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 352 : 895 - 904. )