September 22, 2005 Vol. 353 No. 12
慢性統合失調症患者における抗精神病薬の有効性
Effectiveness of Antipsychotic Drugs in Patients with Chronic Schizophrenia
J.A. Lieberman and Others
従来の抗精神病薬と比較した第二世代(非定型)抗精神病薬の相対的有効性は十分に検討されていないが,現在では,新規薬剤がはるかに多く使用されている.第一世代の抗精神病薬であるペルフェナジンと第二世代の薬剤数種を二重盲検試験で比較した.
米国 57 ヵ所の施設で統合失調症患者計 1,493 例を募集し,オランザピン(1 日 7.5~30 mg),ペルフェナジン(1 日 8~32 mg),クエチアピン(1 日 200~800 mg),リスペリドン(1 日 1.5~6.0 mg)のいずれかを最長 18 ヵ月間投与する群に無作為に割付けた.ジプラシドン(ziprasidone,1 日 40~160 mg)については,米国食品医薬品局(FDA)の承認後に試験に組み入れた.試験の主な目的は,これら 5 種類の治療薬の全般的な有効性の差を詳細に記録することであった.
全体では,患者の 74%(投与を 1 回以上受けた患者 1,432 例中 1,061 例)が 18 ヵ月以前に試験薬を中止した.群別では,試験を中止したのはオランザピン群 64%,ペルフェナジン群 75%,クエチアピン群 82%,リスペリドン群 74%,ジプラシドン群 79%であった.あらゆる原因による治療中止までの期間は,オランザピン群はクエチアピン群(P<0.001),リスペリドン群(P=0.002)よりも有意に長かったが,ペルフェナジン群(P=0.021),ジプラシドン群(P=0.028)とは有意差がみられなかった.耐えがたいほどの副作用による中止までの期間は各群で同程度であったが,治療中止率には差があり(P=0.04),オランザピンでは体重の増加や代謝への影響が多く,ペルフェナジンでは錐体外路系への影響による中止が多かった.
各群の患者の大半が,有効性の欠如,耐えがたいほどの副作用やその他の理由により,割付けられた治療を中止した.中止率の点からみると,有効性はオランザピンがもっとも高く,従来から抗精神病薬として用いられてきたペルフェナジンの有効性は,クエチアピン,リスペリドン,ジプラシドンの有効性と同程度と考えられた.オランザピンは,体重がより増加することと,ブドウ糖値および脂質代謝値の上昇に関連した.