September 29, 2005 Vol. 353 No. 13
急性移植片対宿主病に対する予防的移植前処置
Protective Conditioning for Acute Graft-versus-Host Disease
R. Lowsky and Others
全身リンパ照射と抗胸腺細胞血清による造血細胞移植の前処置は,マウスで移植後の急性移植片対宿主病(GVHD)の発症を予防する.この方法をヒトで検証した.
リンパ性悪性疾患または急性白血病の患者 37 例に対し,移植前処置の試験レジメンとして 10 回の全身リンパ照射(各 80 cGy)と抗胸腺細胞グロブリン投与を行った.続いて,顆粒球コロニー刺激因子投与を受けた血縁・非血縁の HLA 適合ドナーの末梢血単核球を投与した.
移植レシピエント 37 例のうち,造血細胞移植後に急性 GVHD を発症したのは 2 例のみであった.リンパ性悪性疾患患者に対する強力な抗腫瘍効果により,部分寛解から完全寛解へ移行した.全身リンパ照射+抗胸腺細胞グロブリン投与を受けた移植レシピエントは,健常対照被験者および 1 回の全身照射(200 cGy)で移植前処置を受けた対照被験者に比べて,in vitro で刺激後にインターロイキン 4 を産生したドナーの CD4+ T 細胞の分画が 5 倍増加し,in vitro での同種異系抗原に対する増殖反応は減少した.
造血細胞移植を受けたリンパ性悪性疾患患者や急性白血病患者では,全身リンパ照射と抗胸腺細胞グロブリンの併用レジメンによって急性 GVHD の発生率が減少し,移植片で抗腫瘍活性が認められる.