October 6, 2005 Vol. 353 No. 14
嚢胞性線維症における肺疾患の遺伝的修飾因子
Genetic Modifiers of Lung Disease in Cystic Fibrosis
M.L. Drumm and Others
嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)遺伝子以外の遺伝子の多型が,嚢胞性線維症患者における肺疾患の重症度を修飾する可能性がある.
異なる患者サンプル群を用いて 2 種類の研究を行った.最初に,ΔF508 ホモ接合性変異を有し,重度または軽度の肺疾患を有するとして分類された患者 808 例について検討した.肺疾患の重症度は,それぞれ年齢に対する 1 秒量(FEV1)の最低四分位と最高四分位とで定義した.また,嚢胞性線維症の疾患重症度を修飾する因子としてこれまでに報告されている 10 個の遺伝子の 16 の多型について遺伝子型を特定し,重度の患者(263 例)と軽度の患者(545 例)で関連性を調べた.再現研究(二次研究)では,さまざまな CFTR 遺伝子型を有する FEV1 が一定範囲内の患者 498 例を対象に,TGFβ1 コドン 10 CC 遺伝子型と FEV1 の低さとの関連を検討した.
第一の研究では,TGFβ1(トランスフォーミング増殖因子β1 をコードする遺伝子)のみに,表現型と対立遺伝子,遺伝子型とのあいだに有意な関連がみられ,とくに,-509 多型とコドン 10 多型で有意であった(Fisher の正確確率検定とロジスティック回帰による P 値の範囲は 0.006~0.0002 に及んだ).重度の肺疾患の表現型に関連して,リスクがもっとも高い TGFβ1 遺伝子型(コドン 10 CC)ではオッズ比が約 2.2 であった.再現研究では,重症度で二分した FEV1 値(P=0.0002)と FEV1 の直接の値(P=0.02)を用いた比較で,TGFβ1 コドン 10 CC 遺伝子型はより重度の肺疾患と関連があることが確認された.
嚢胞性線維症においては,TGFβ1 の 5' 末端,あるいは隣接する上流領域の遺伝子変異が,疾患の重症度を修飾する.