October 6, 2005 Vol. 353 No. 14
若年男性における正常な空腹時血漿グルコース濃度と 2 型糖尿病
Normal Fasting Plasma Glucose Levels and Type 2 Diabetes in Young Men
A. Tirosh and Others
最近,空腹時血漿グルコース濃度の正常値は 100 mg/dL(5.55 mmol/L)未満と定義された.若年成人において,この範囲内での空腹時血漿グルコース濃度の高値が,2 型糖尿病を独立して予測できるかどうかは明らかでない.
26~45 歳のイスラエル国防軍の男性から,血液検査値,身体診察データ,医療情報および生活様式に関する情報を入手した.
74,309 人‐年の追跡期間中(1992~2004 年)に,ベースラインの空腹時血漿グルコース濃度が 100 mg/dL 未満であった被験者 13,163 人のうち,208 例が 2 型糖尿病を発症した.年齢,糖尿病の家族歴,体格指数(BMI),身体活動レベル,喫煙状況,血清トリグリセリド値について補正した多変量モデルから,空腹時血漿グルコース濃度が 87 mg/dL(4.83 mmol/L)以上の男性では,空腹時血漿グルコース濃度が五分位でもっとも低い群に属する男性(81 mg/dL [4.5 mmol/L] 未満,傾向の P<0.001)と比較して,2 型糖尿病のリスクが段階的に増加していることが明らかになった.多変量モデルでは,血清トリグリセリド値が 150 mg/dL(1.69 mmol/L)以上で空腹時血漿グルコース濃度が 91~99 mg/dL(5.05~5.50 mmol/L)の男性の場合,血清トリグリセリド値が 150 mg/dL 未満で空腹時血漿グルコース濃度が 86 mg/dL(4.77 mmol/L)未満の男性と比較して,糖尿病のハザード比が 8.23(95%信頼区間 3.6~19.0)であった.BMI(体重 [kg] を身長 [m] の二乗で除した値)が 30 以上で空腹時血漿グルコース濃度 91~99 mg/dL の場合は,BMI 25 未満,空腹時血漿グルコース濃度 86 mg/dL 未満の場合と比較して,ハザード比は 8.29(95%信頼区間 3.8~17.8)であった.
血糖値が正常範囲内での空腹時血漿グルコース濃度の高値は,若年男性における 2 型糖尿病の独立した危険因子である.このような値は,BMI およびトリグリセリド値と併せて,一見健康にみえる糖尿病リスクの高い男性を同定するうえで役立つ可能性がある.