October 27, 2005 Vol. 353 No. 17
乳癌検診におけるデジタルマンモグラフィとフィルムマンモグラフィの診断精度の比較
Diagnostic Performance of Digital versus Film Mammography for Breast-Cancer Screening
E.D. Pisano and Others
乳癌の検出において,フィルムマンモグラフィは,X 線撮影で乳腺密度が高い女性の場合感度に限界がある.デジタルマンモグラフィの使用により,これらの限界の一部が解消されるかどうかを検討した.
アメリカおよびカナダの 33 施設において,マンモグラフィ検診のために訪れた計 49,528 例の無症状の女性を対象に,デジタルマンモグラフィとフィルムマンモグラフィの両方を実施した.42,760 例(86.3%)から,すべての必要な情報が得られた.乳房 X 線像は,2 人の放射線科医がそれぞれ単独で読影した.乳癌の状態は,研究への参加後 15 ヵ月以内に行った乳房生検,あるいは参加後 10 ヵ月までに追跡調査で撮影した乳房 X 線像を基準に確認した.ROC 解析により結果を評価した.
集団全体では,デジタルマンモグラフィとフィルムマンモグラフィの診断精度は同等であった(両手法の ROC 曲線下面積の差 0.03,95%信頼区間 -0.02~0.08,P=0.18).しかし,デジタルマンモグラフィの精度は,フィルムマンモグラフィに比べて,50 歳未満の女性(曲線下面積の差 0.15,95%信頼区間 0.05~0.25,P=0.002),マンモグラフィで乳腺密度が不均一か極度に高い女性(差 0.11,95%信頼区間 0.04~0.18,P=0.003),閉経前または閉経期の女性(差 0.15,95%信頼区間 0.05~0.24,P=0.002)では有意に高かった.
乳癌検診の方法としてのデジタルマンモグラフィとフィルムマンモグラフィは,総合的な診断精度は同等であるが,50 歳未満の女性,X 線撮影で乳腺密度が高い女性,閉経前・閉経期の女性では,デジタルマンモグラフィのほうが精度が高かった.(ClinicalTrials.gov 識別番号:NCT00008346)
本論文は,2005 年 9 月 16 日 www.nejm.org で発表された.