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October 27, 2005 Vol. 353 No. 17

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成人期に冠動脈イベントを発症する小児の成長曲線
Trajectories of Growth among Children Who Have Coronary Events as Adults

D.J.P. Barker and Others

背景

低出生体重は,冠動脈心疾患の危険因子である.出生後の成長が,疾患リスクにどのように影響を及ぼすかは明らかではない.

方 法

ヘルシンキで 1934~44 年に生まれた 8,760 人を対象に調査を行った.小児期の成長は記録されていた.合計で男性 357 人と女性 87 人が,冠動脈心疾患が原因で入院または死亡した.2,003 人のサブセットについて冠動脈危険因子を測定した.

結 果

成人期に冠動脈イベントを発症した小児は,平均的な体の大きさが,出生時は平均以下であった.2 歳の時点では痩せていたが,のちに体格指数(BMI)は他の小児に比べて急速に増加し,11 歳までに平均に達していた.同時回帰分析では,BMI が 1 SD 増加することに対するハザード比は,男児では 2 歳の時点で 0.76(95%信頼区間 0.66~0.87,P<0.001),11 歳の時点で 1.14(95%信頼区間 1.00~1.31,P=0.05)であり,女児ではそれぞれ 0.62(95%信頼区間 0.46~0.82,P=0.001)と 1.35(95%信頼区間 1.02~1.78,P=0.04)であった.また,2 歳時の低 BMI と 2~11 歳のあいだの BMI 上昇は,空腹時インスリン濃度の上昇とも関連していた(両方で P<0.001).

結 論

冠動脈イベントを発症した成人は,平均して出生時は小さく,2 歳の時点では痩せていて,のちに体重が急速に増加していた.この小児期の成長パターンは,後年のインスリン抵抗性と関連していた.冠動脈イベントのリスクは,いずれの年齢における BMI よりも,小児期の BMI の増加速度とより強く関連していた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 1802 - 9. )