The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

November 17, 2005 Vol. 353 No. 20

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

肺動脈性肺高血圧症に対するシルデナフィルクエン酸塩療法
Sildenafil Citrate Therapy for Pulmonary Arterial Hypertension

N. Galie and Others

背景

シルデナフィルは,環状グアノシン一リン酸を代謝する酵素であるホスホジエステラーゼ 5 を阻害することで,肺などに存在する血管平滑筋細胞において,環状グアノシン一リン酸を介する弛緩および成長阻害を促進する.

方 法

二重盲検プラセボ対照試験で,症候性肺動脈性肺高血圧症患者 278 例(特発性肺動脈性肺高血圧症,または結合組織病に伴う,もしくは修復された先天性体肺シャントに伴う肺動脈性肺高血圧症)を,プラセボまたはシルデナフィル(20,40,80 mg)を 1 日 3 回連日 12 週間経口投与する群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,ベースラインから 12 週までの 6 分間歩行距離の変化とした.平均肺動脈圧の変化,世界保健機関(WHO)機能分類,臨床的悪化の発生率も評価した.しかし,本試験は死亡率を評価する検定力をもたなかった.12 週間の無作為化試験を終了した患者は,長期延長試験に参加可能とした.

結 果

6 分間歩行距離は,すべてのシルデナフィル群で,ベースライン値から増加した.プラセボ効果で補正した治療効果の平均は,シルデナフィル 20 mg 群で 45 m(+13.0%),40 mg 群で 46 m(+13.3%),80 mg 群で 50 m(+14.7%)であった(すべての比較について P<0.001).シルデナフィルにより,すべての用量で肺動脈圧の平均値が低下し(それぞれ P=0.04,P=0.01,P<0.001),WHO 機能分類が改善した(それぞれ P=0.003,P<0.001,P<0.001).シルデナフィルは紅潮,消化不良,下痢などの副作用を伴った.臨床的悪化の発生率は,シルデナフィル群とプラセボ群とのあいだに有意差は認められなかった.シルデナフィル単剤による 1 年間の治療を終了した 222 例では,1 年の時点で,6 分間歩行距離がベースラインから 51 m 改善した.

結 論

シルデナフィルは,症候性肺動脈性肺高血圧症患者の運動耐容能,WHO 機能分類,および血行力学的指標を改善する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 2148 - 57. )