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November 24, 2005 Vol. 353 No. 21

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神経芽細胞腫における染色体 1p,11q の欠失と転帰
Chromosome 1p and 11q Deletions and Outcome in Neuroblastoma

E.F. Attiyeh and Others

背景

神経芽細胞腫は,罹患率と死亡率の高い小児癌である.腫瘍由来の生物マーカーにより,リスクの層別化が改善される可能性がある.

方 法

神経芽細胞腫 915 検体について,染色体領域 1p36 と 11q23 におけるヘテロ接合性の消失(LOH)のスクリーニングを行った.追加解析により,アンバランスな 11q LOH(unb11q LOH;11p は保持された状態での 11q の欠失と定義)をもつ 11q23 LOH 症例のサブグループが同定された.LOH と再発および生存との関連を調べた.

結 果

1p36 の LOH は腫瘍 898 個中 209 個(23%),11q23 の LOH は腫瘍 913 個中 307 個(34%)で同定された.unb11q LOH は,11q23 LOH を有する腫瘍 307 個中 151 個で認められた(コホート全体の 17%).1p36 LOH,11q23 LOH,unb11q LOH は,もっとも高リスクとされる疾患特性と関連していた(P<0.001).1p36 の LOH は MYCN 癌遺伝子の増幅と関連していたが(P<0.001),11q23 LOH と unb11q LOH は関連していなかった(それぞれ P<0.001,P=0.002).unb11q LOH を有する症例では,3 年無イベント生存率(±SE)は50±5%,全生存率(±SE)は 66±5%で,一方,unb11q LOH のない症例では 3 年無イベント生存率は 74±2%,全生存率は 83±2%であった(両比較について P<0.001).多変量モデルでは,unb11q LOH は,コホート全体において低い無イベント生存率と独立して関連しており(P=0.009),1p36 LOH と unb11q LOH は,低リスク,中等度リスクの疾患特性を示す患者のサブグループにおいて,低い無増悪生存率と独立して関連していた(それぞれ P=0.002,P=0.02).

結 論

unb11q LOH と 1p36 LOH は,神経芽細胞腫患者の不良な転帰と独立して関連している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 2243 - 53. )