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November 24, 2005 Vol. 353 No. 21

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肝硬変患者の食道胃静脈瘤予防のための β 遮断薬
Beta-Blockers to Prevent Gastroesophageal Varices in Patients with Cirrhosis

R.J. Groszmann and Others

背景

非選択的 β アドレナリン遮断薬は,門脈圧を低下させ,静脈瘤出血を予防する.静脈瘤の予防におけるその有効性は明らかにされていない.

方 法

肝硬変および門脈圧亢進(肝静脈圧較差 [HVPG] 6 mmHg 以上)を呈する患者 213 例を,非選択的 β 遮断薬チモロールを投与する群(108 例)とプラセボを投与する群(105 例)のいずれかに無作為に割付けた.主要エンドポイントは,食道胃静脈瘤または静脈瘤出血の発生とした.年 1 回の内視鏡検査と HVPG 測定を繰り返し行った.

結 果

中央値 54.9 ヵ月の追跡期間中,主要エンドポイントの発生率にチモロール群とプラセボ群のあいだで有意差は認められず(それぞれ 39%,40%;P=0.89),腹水,脳症,肝移植,死亡の発生率についても有意差はみられなかった.重大な有害事象の頻度は,チモロール群のほうがプラセボ群よりも高かった(18% 対 6%,P=0.006).静脈瘤の発生頻度は,ベースラインの HVPG が 10 mmHg 未満の患者,ならびに 1 年目の時点で HVPG が 10%超低下した患者で低く,1 年目の時点で HVPG が 10%超増加した患者で高かった.

結 論

非選択的 β 遮断薬は,任意抽出した肝硬変および門脈圧亢進を呈する患者において,静脈瘤を予防する効果はなく,有害事象の発生数の増加と関連していた.
(ClinicalTrials.gov 識別番号:NCT00006398)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 2254 - 61. )