December 22, 2005 Vol. 353 No. 25
1 型糖尿病患者における糖尿病の強化療法と心血管疾患
Intensive Diabetes Treatment and Cardiovascular Disease in Patients with Type 1 Diabetes
The DCCT/EDIC Study Research Group
血糖値を正常に近づけることを目標とした強化療法により,1 型糖尿病の微小血管合併症や神経系合併症が減少する.われわれは,糖尿病のコントロールと合併症に関する試験(Diabetes Control and Complications Trial;DCCT)期間中に実施した強化療法が,従来の治療と比べて,長期的な心血管疾患の発症率に影響を与えるかどうかを検討した.
DCCT では,1 型糖尿病患者 1,441 例を強化療法または従来の治療のいずれかに無作為に割付け,1983~93 年のあいだに平均 6.5 年間治療を行った.対象患者の 93%を,観察に基づく糖尿病への介入と合併症に関する疫学研究(Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications study)において,2005 年 2 月 1 日まで引き続き追跡調査した.心血管疾患(非致死性の心筋梗塞,脳卒中,心血管疾患による死亡,確認された狭心症,冠動脈血行再建術の必要な病態と定義)を標準化された方法で評価し,独立した委員会が分類した.
平均 17 年の追跡期間中,DCCT において強化療法を受けた患者 31 例では 46 件の心血管イベントが発生し,従来の治療を受けた 52 例では 98 件発生した.強化療法により,すべての心血管疾患イベントのリスクが 42%減少し(95%信頼区間 9~63%,P=0.02),非致死性の心筋梗塞,脳卒中,心血管疾患による死亡のリスクが 57%減少した(95%信頼区間 12~79%,P=0.02).DCCT 期間中のグリコヘモグロビン値の低下は,強化療法の心血管疾患リスクに対するプラスの効果の大部分と有意に関連していた.微量アルブミン尿とアルブミン尿は心血管疾患リスクの有意な増加と関連していたが,これらの因子で補正後も,両治療群間の差は有意であった(P≦0.05).
糖尿病の強化療法は,1 型糖尿病患者の心血管疾患リスクに対し,長期にわたる有益な効果を示す.