核酸増幅検査による輸血用血液の西ナイルウイルス RNA スクリーニング
Screening the Blood Supply for West Nile Virus RNA by Nucleic Acid Amplification Testing
M.P. Busch and Others
2003 年 7 月より,16 例の「ミニプール検体」を用いる核酸増幅検査を利用した,西ナイルウイルス RNA に関する供血者のスクリーニングが開始された.陽性供血の割合と特徴,ならびに個々の供血に核酸増幅検査を実施することで陽性供血の割合と安全性がどの程度高まったかについて報告する.
反応陽性のミニプールを解析し,反応陽性を示した個々の供血を同定した.ミニプール検査で陽性の割合がもっとも高かった地域については,ミニプール検査で陰性であった個々の供血に,事後的に核酸増幅検査を行った.反応陽性の供血は,別の核酸増幅検査および IgM 検査,IgG 検査によって確認し,セロコンバージョンを確認するためにドナーを追跡した.
2003 年 7 月 1 日~10 月 31 日の期間に,供血 677,603 例についてミニプール検査で西ナイルウイルスの事前スクリーニングを行い,ウイルス血症の供血 183 例を確認した(0.027%,すなわち供血 3,703 例につき 1 例).有病率の高い地域から採取され,ミニプール検査で陰性であった供血 23,088 例を事後的に個別検査したところ,さらに 30 検体が低レベルのウイルス血症であった.2003 年の流行期間の終りには,個々の供血の事前検査でウイルス血症の検体がさらに 14 例検出された.検出されたすべてのウイルス血症検体のうち,5%は個別検査でしか検出されず,IgM 抗体陰性であり,29%は IgM セロコンバージョン後に個別検査によって検出され,66%はミニプール検査で検出された.個別検査で反応陽性であった IgM 陰性の血液の受血者 2 例で西ナイルウイルス感染が確認されたのに対し,個別検査で反応陽性であった抗体陽性の血液成分の受血者では感染者は認められなかった.2004 年に,ミニプール検査で反応陽性の供血が認められた地域で個々の供血を事前に検査したところ,ミニプール検査では見落とされた可能性がある低レベルのウイルス血症の検体の割合が 32%増加した.
2003 年には,供血ミニプールの核酸増幅検査により何百例もの西ナイルウイルス感染を防ぐことができたが,低レベルのウイルス血症の検体は,抗体陰性で感染性のものも含め検出することができなかった.これらのデータは,有病率の高い地域においては個々の供血に核酸増幅検査を実施するという,2004 年に実施され成功した戦略を支持するものである.