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September 1, 2005 Vol. 353 No. 9

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グリーンオニオンによる A 型肝炎の集団発生
An Outbreak of Hepatitis A Associated with Green Onions

C. Wheeler and Others

背景

2003 年 11 月,ペンシルバニア州の 1 軒のレストランの利用客に,A 型肝炎の大規模な集団発生が確認された.この集団発生の原因と,その前例のない規模に寄与した要因について検討した.

方 法

検査で確認された A 型肝炎患者の人口統計学的データと臨床転帰データを収集し,レストラン従業員に対し A 型肝炎検査を行った.2003 年 10 月 3 日~10 月 6 日のレストラン利用客を対象に,症例対照研究を行った.血清標本から抽出したウイルス RNA の 315-ヌクレオチド領域の配列を解析した.

結 果

確認された患者 601 例のうち,3 例が死亡し,少なくとも 124 例が入院した.このレストランで 1 度だけ食事をし,その日付を覚えていた 425 例のうち,356 例(84%)が 10 月 3 日~10 月 6 日に食事をしていた.マイルドサルサを食べていたのは,症例対照研究の患者 240 例中 218 例(91%)であったのに対し,データが得られた対照者 130 例では 45 例(35%)であった(オッズ比 19.6,95%信頼区間 11.0~34.9).合計で患者の 98%と対照者の 58%が,グリーンオニオンの入ったメニューを食べたと報告した(オッズ比 33.3,95%信頼区間 12.8~86.2).レストランの従業員全員に検査を行ったが,集団発生の原因になりうると判断された者はいなかった.A 型肝炎ウイルスの配列は,検査を行った患者 170 例全例で同一であった.メキシコ産グリーンオニオンの入ったマイルドサルサは,レストランで大量に作られ,利用客全員に提供されていた.

結 論

レストランへの到着前に汚染されたと考えられるグリーンオニオンが,この異常に大規模な食品媒介性の A 型肝炎集団発生の原因であった.汚染されたグリーンオニオンが,大量に作られ利用客全員に提供された料理に入っていたことが,この集団発生の規模の大きさに寄与していた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2005; 353 : 890 - 7. )