The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

January 12, 2006 Vol. 354 No. 2

罹患して帰国した旅行者における疾患の種類と曝露地域との関係
Spectrum of Disease and Relation to Place of Exposure among Ill Returned Travelers

D.O. Freedman and Others

背景

発展途上国への旅行者の約 8%が,旅行中または旅行後に医療を必要とする.罹患して帰国した旅行者における罹患プロファイルの現在の理解は,1980 年代の限られたデータに基づいたものである.

方 法

6 大陸にある旅行医学または熱帯医学の専門診療所,GeoSentinel の施設 30 ヵ所が,罹患して帰国した旅行者 17,353 例に関する,臨床医による定点監視データを提供した.世界の 6 つの発展途上地域から帰国した旅行者における,各診断の発生頻度を比較した.

結 果

21 の広範な症候分類のうち,16 分類で罹患比率に有意な地域差がみられた.GeoSentinel の施設を受診した旅行者のうち,局在所見のみられない全身性熱性疾患はサハラ以南のアフリカや東南アジアからの帰国者に,急性下痢症は中央アジア南部からの帰国者に,皮膚疾患はカリブ海諸国や中央・南アメリカからの帰国者に多く発生した.具体的な診断に関しては,いずれの地域から帰国した旅行者においても,マラリアが全身性熱性疾患の三大原因の 1 つであったが,サハラ以南のアフリカと中央アメリカ以外の地域から帰国した旅行者では,デング熱の確定例あるいは疑い例の頻度が,マラリアの頻度よりも高かった.サハラ以南のアフリカから帰国した旅行者では,リケッチア感染,主にダニが媒介する紅斑熱の頻度が,チフスやデング熱の頻度よりも高かった.東南アジアを除くすべての地域から帰国した旅行者では,細菌性下痢症よりも寄生虫による下痢症で受診することが多かった.

結 論

発展途上地域への旅行後に患者が専門外来を受診する場合,旅行先に関連して特定の疾患が診断される可能性がある.旅行先に特有の違いが,診断方法や経験的療法の指針となる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 119 - 30. )