The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

January 12, 2006 Vol. 354 No. 2

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

進行性の慢性腎不全に対するベナゼプリルの有効性と安全性
Efficacy and Safety of Benazepril for Advanced Chronic Renal Insufficiency

F.F. Hou and Others

背景

アンジオテンシン転換酵素阻害薬は,軽度~中等度の腎不全(血清クレアチニン値 3.0 mg/dL 以下)の患者において腎臓を保護する.糖尿病でない進行性腎不全患者におけるベナゼプリルの有効性と安全性を評価した.

方 法

患者 422 例を無作為化二重盲検試験に登録した.8 週間の導入期間後,血清クレアチニン値が 1.5~3.0 mg/dL の患者 104 例(グループ 1)に,ベナゼプリル 20 mg/日を投与した.血清クレアチニン値が 3.1~5.0 mg/dL の患者 224 例(グループ 2)は,ベナゼプリル 20 mg/日(112 例)またはプラセボ(112 例)のいずれかに無作為に割付けた.追跡は平均 3.4 年間行った.すべての患者が従来の高血圧治療を受けた.主要転帰は,血清クレアチニン値の倍増,末期腎疾患,死亡の複合とした.副次的エンドポイントは,蛋白尿値の変化および腎疾患の進行速度などとした.

結 果

グループ 1 の患者 102 例のうち,22 例(22%)が主要エンドポイントに達したのに対し,グループ 2 で主要エンドポイントに達したのは,ベナゼプリル群では 108 例中 44 例(41%),プラセボ群では 107 例中 65 例(60%)であった.プラセボと比較して,ベナゼプリルは,グループ 2 における主要エンドポイントのリスクの 43%の低下と関連していた(P=0.005).こうした有益な効果は,血圧管理が原因ではないと考えられた.ベナゼプリルによる治療に関連して,蛋白尿値が 52%低下し,腎機能低下速度が 23%低下した.主な有害事象の全発生率は,グループ 2 のベナゼプリルとプラセボのサブグループで同等であった.

結 論

ベナゼプリルは,糖尿病でない進行性腎不全患者において,腎臓に対するかなりの有益な効果がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 131 - 40. )