April 13, 2006 Vol. 354 No. 15
急性心筋梗塞後のホモシステイン低下と心血管イベント
Homocysteine Lowering and Cardiovascular Events after Acute Myocardial Infarction
K.H. Bonaa and Others
ホモシステインは心血管疾患の危険因子である.われわれは,急性心筋梗塞を発症した患者の二次予防としての,ビタミン B 群によるホモシステイン低下療法の有効性を評価した.
無作為化 7 日前以内に急性心筋梗塞を発症した男女,3,749 例を試験に登録した.2×2 の要因デザインで,患者を以下の 4 つの連日治療群に無作為に割付けた.治療群は,葉酸 0.8 mg,ビタミン B12 0.4 mg,ビタミン B6 40 mg を投与する群;葉酸 0.8 mg とビタミン B12 0.4 mg を投与する群;ビタミン B6 40 mg を投与する群;プラセボを投与する群の 4 群とした.中央値 40 ヵ月の追跡期間における主要エンドポイントは,再発性心筋梗塞,脳卒中,冠動脈疾患に起因する突然死の複合とした.
平均総ホモシステイン値は,葉酸+ビタミン B12 投与患者で 27%低下したが,この治療では,主要エンドポイントに対する有意な影響はみられなかった(リスク比 1.08,95%信頼区間 0.93~1.25,P=0.31).また,ビタミン B6 の投与では,主要エンドポイントに関して,有意な利益との関連はみられなかった(主要エンドポイントの相対リスク 1.14,95%信頼区間 0.98~1.32,P=0.09).葉酸+ビタミン B12+ビタミン B6 投与群では,リスクが増加する傾向がみられた(相対リスク 1.22,95%信頼区間 1.00~1.50,P=0.05).
ビタミン B 群を投与する治療では,急性心筋梗塞後の心血管疾患の再発リスクは減少しなかった.また,ビタミン B の併用投与の有害な影響が示唆された.したがって,この治療法は推奨されるものではない.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00266487)
本論文は,2006 年 3 月 12 日 www.nejm.org で発表された.