April 13, 2006 Vol. 354 No. 15
血管疾患における葉酸とビタミン B 群によるホモシステイン低下
Homocysteine Lowering with Folic Acid and B Vitamins in Vascular Disease
The HOPE-2 Investigators
観察研究では,ホモシステイン値が低いと,冠動脈心疾患および脳卒中の発生率が低くなることが示されている.葉酸,ビタミン B6,ビタミン B12 は,ホモシステイン値を低下させる.これらを補給することで,血管疾患患者において主要心血管イベントのリスクが減少するかどうかを評価した.
血管疾患または糖尿病を有する 55 歳以上の患者 5,522 例を,葉酸 2.5 mg,ビタミン B6 50 mg,ビタミン B12 1 mg の合剤,またはプラセボを,平均 5 年間連日投与する群に無作為に割付けた.主要転帰は,心血管疾患が原因の死亡,心筋梗塞,脳卒中の複合とした.
血漿ホモシステイン値の平均値は,積極的治療群では 2.4 μmol/L(0.3 mg/L)低下し,プラセボ群では 0.8 μmol/L(0.1 mg/L)増加した.主要転帰のイベントは,積極的治療群の 519 例(18.8%)とプラセボ群の 547 例(19.8%)で発生した(相対リスク 0.95,95%信頼区間 0.84~1.07,P=0.41).プラセボと比較して積極的治療は,心血管疾患が原因の死亡(相対リスク 0.96,95%信頼区間 0.81~1.13),心筋梗塞(相対リスク 0.98,95%信頼区間 0.85~1.14),およびいずれの副次的転帰のリスクも有意に減少させなかった.脳卒中を発症した患者の数は,積極的治療群のほうがプラセボ群よりも少なかった(相対リスク 0.75,95%信頼区間 0.59~0.97).不安定狭心症で入院した患者の数は,積極的治療群のほうが多かった(相対リスク 1.24,95%信頼区間 1.04~1.49).
葉酸,ビタミン B6,ビタミン B12 を組み合せたサプリメントでは,血管疾患患者の主要心血管イベントのリスクは減少しなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00106886,Current Controlled Trials 番号:ISRCTN14017017)
本論文は,2006 年 3 月 12 日 www.nejm.org で発表された.