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May 18, 2006 Vol. 354 No. 20

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HER2 とアジュバント化学療法に対する乳癌の反応性
HER2 and Responsiveness of Breast Cancer to Adjuvant Chemotherapy

K.I. Pritchard and Others

背景

乳癌細胞におけるヒト上皮成長因子受容体 2 型(HER2,または HER2/neu)遺伝子の増幅とその遺伝子産物の過剰発現は,アントラサイクリン系薬剤を含む化学療法レジメンに対する反応性と関連している可能性がある.

方 法

無作為化対照 Mammary.5 試験において,アジュバント化学療法としてシクロホスファミド+エピルビシン+フルオロウラシル(CEF)またはシクロホスファミド+メトトレキサート+フルオロウラシル(CMF)の投与を受けた,リンパ節転移陽性乳癌の閉経前女性 710 例のホルマリン固定パラフィン包埋標本,639 個を検討した.HER2 の増幅または過剰発現は,蛍光 in situ ハイブリダイゼーション,免疫組織化学的解析,PCR 解析を用いて評価した.

結 果

HER2 の増幅は,治療内容にかかわらず不良な予後と関連していた.腫瘍で HER2 の増幅が認められた患者では,無再発生存率(ハザード比 0.52,95%信頼区間 0.34~0.80,P=0.003)および全生存率(ハザード比 0.65,95%信頼区間 0.42~1.02,P=0.06)に基づいて評価すると,CEF のほうが CMF よりも優れていた.HER2 の増幅がみられない女性では,CEF によって無再発生存率(再発に対するハザード比 0.91,95%信頼区間 0.71~1.18,P=0.49)および全生存率(死亡に対するハザード比 1.06,95%信頼区間 0.83~1.44,P=0.68)は改善しなかった.治療法と HER2 の増幅との相互作用に対する調整ハザード比は,無再発生存率について 1.96(95%信頼区間 1.15~3.36,P=0.01),全生存率について 2.04(95%信頼区間 1.14~3.65,P=0.02)であった.

結 論

乳癌細胞における HER2 の増幅は,アントラサイクリン系薬剤を含む化学療法に対する臨床反応性と関連している.(cancer.gov 番号:NCI-V90-0027)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 2103 - 11. )