February 23, 2006 Vol. 354 No. 8
有痛性の変形性膝関節症に対するグルコサミンと硫酸コンドロイチン,およびその併用
Glucosamine, Chondroitin Sulfate, and the Two in Combination for Painful Knee Osteoarthritis
D.O. Clegg and Others
グルコサミンと硫酸コンドロイチンは,変形性関節症の治療に用いられる.多施設共同二重盲検でプラセボとセレコキシブを対照とした,グルコサミン・コンドロイチン関節炎介入試験(Glucosamine/chondroitin Arthritis Intervention Trial;GAIT)において,変形性関節症による膝痛の治療法としての両者の有効性と安全性を評価した.
症候性変形性膝関節症患者 1,583 例を,グルコサミン 1,500 mg 連日,硫酸コンドロイチン 1,200 mg 連日,グルコサミンと硫酸コンドロイチンの併用,セレコキシブ 200 mg 連日,プラセボのいずれかを 24 週間受ける群に無作為に割付けた.救済用の鎮痛薬として,1 日最大 4,000 mg のアセトアミノフェン投与が許可された.割付けは膝痛の重症度に従って行った(軽度 [N=1,229] 対 中等度~重度 [N=354]).主要転帰指標は,ベースラインから第 24 週までのあいだの膝痛の 20%の軽減とした.
患者の平均年齢は 59 歳で,64%が女性であった.全体的に,グルコサミンと硫酸コンドロイチンには,膝痛の 20%軽減に関して,プラセボと比較して有意な優位性は認められなかった.プラセボに対する反応率(60.1%)と比較して,グルコサミンに対する反応率は 3.9 パーセントポイント高く(P=0.30),硫酸コンドロイチンに対する反応率は 5.3 パーセントポイント高く(P=0.17),併用療法に対する反応率は 6.5 パーセントポイント高かった(P=0.09).セレコキシブ対照群の反応率は,プラセボ対照群の反応率と比較して 10.0 パーセントポイント高かった(P=0.008).ベースラインで中等度~重度の痛みのあった患者では,併用療法のほうがプラセボよりも反応率が有意に高かった(79.2% 対 54.3%,P=0.002).有害事象は軽度かつ低頻度であり,群間で等しくみられた.
グルコサミンと硫酸コンドロイチンの単独療法および併用療法は,変形性膝関節症の患者群全体で,痛みを効果的に軽減させることはなかった.探索的解析から,グルコサミンと硫酸コンドロイチンの併用療法は,中等度~重度の膝痛を呈する患者のサブグループにおいて,有効である可能性が示唆された.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00032890)