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March 2, 2006 Vol. 354 No. 9

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再発性多発性硬化症に対するナタリズマブ+インターフェロン β1a
Natalizumab plus Interferon Beta-1a for Relapsing Multiple Sclerosis

R.A. Rudick and Others

背景

インターフェロン β は,再発性多発性硬化症の経過を修飾するために使用されている.しかしながら,インターフェロン β 治療にもかかわらず多くの患者で再発が起る.α4 インテグリン拮抗薬ナタリズマブ(natalizumab)は,予備的研究で,単独でもインターフェロン β1a との併用でも,安全かつ有効であると考えられた.

方 法

インターフェロン β1a 治療にもかかわらず,無作為化前の 12 ヵ月間に 1 回以上再発を起した患者 1,171 例を,インターフェロン β1a の継続と併用して,ナタリズマブ 300 mg(589 例)またはプラセボ(582 例)のいずれかを,4 週ごとに最長 116 週間静脈内投与する群に無作為に割付けた.主要エンドポイントは,1 年の時点での臨床再発率と,2 年の時点での,総合障害度(Expanded Disability Status Scale)で評価した障害の進行が 12 週持続する累積確率とした.

結 果

併用療法により,障害の持続的な進行の相対リスクが 24%低下した(ハザード比 0.76,95%信頼区間 0.61~0.96,P=0.02).2 年の時点での,進行の累積確率の Kaplan-Meier 法による推定値は,併用療法で 23%,インターフェロン β1a 単独療法で 29%であった.併用療法では,2 年間の再発の年率がインターフェロン β1a 単独療法と比較して低く(0.34 対 0.75,P<0.001),T2 強調磁気共鳴画像法で認められる新病巣や病巣の拡大が少なかった(0.9 対 5.4,P<0.001).併用療法に関連した有害事象は,不安,咽頭炎,鼻閉,末梢浮腫であった.ナタリズマブ治療患者において,2 例の進行性多巣性白質脳症が診断され,うち 1 例は致死的であった.

結 論

再発性多発性硬化症患者において,ナタリズマブとインターフェロン β1a との併用は,インターフェロン β1a 単独よりも有意に有効性が高かった.この併用療法の有益性とリスクを明らかにするために,さらに研究が必要である.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00030966)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 354 : 911 - 23. )