親の心不全と子の心不全リスクとの関連
Association of Parental Heart Failure with Risk of Heart Failure in Offspring
D.S. Lee and Others
親の心不全と,子の左室収縮機能不全の有病率および心不全のリスクとの関連については,地域ベースで調査されたことはない.
フラミンガム子孫研究(Framingham Offspring Study)に参加し,心エコー検査を定期的に受けた 1,497 例(平均年齢 57 歳,女性 819 例)を対象に,親の心不全と,子の左室収縮機能不全の有病率,左室心筋重量,左室内径,左室壁厚との横断的関連を検討した.また,親の心不全が子の心不全のリスクを増加させるかどうかを検討するため,2,214 例(平均年齢 44 歳,女性 1,150 例)を前向きに調査した.
両親ともに心不全でない 1,039 例と比較して,少なくとも片方の親が心不全の横断コホート集団の 458 例では,左室心筋重量の増加(17.0% 対 26.9%),左室内径の拡大(18.6% 対 23.4%),左室収縮機能不全(3.1% 対 5.7%)を呈する可能性が高かった.多変量調整オッズ比は,それぞれ 1.35(95%信頼区間 0.99~1.84),1.29(95%信頼区間 0.96~1.72),2.37(95%信頼区間 1.22~4.61)であった.縦断コホートでは,追跡期間中(平均追跡期間 20 年)に子の 90 例に心不全が発生した.年齢・性別で調整後の心不全の 10 年発生率は,親が心不全でない子では 1.62%であったのに対し,親が心不全の子では 2.72%であった.このリスクの増加は,多変量調整後も持続した(ハザード比 1.70,95%信頼区間 1.11~2.60).
親の心不全は,左室収縮機能不全の有病率上昇と横断的に関連し,心不全のリスク上昇と縦断的に関連する.われわれのデータは,地域集団において,家族性因子が心不全負荷に寄与することを強調するものである.