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July 13, 2006 Vol. 355 No. 2

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ダニ媒介性回帰熱予防のためのダニ曝露後のドキシサイクリン投与
Postexposure Treatment with Doxycycline for the Prevention of Tick-Borne Relapsing Fever

T. Hasin and Others

背景

ダニ媒介性回帰熱(TBRF)は急性の熱性疾患である.イスラエルでは,TBRF は Borrelia persica が原因で発症し,Ornithodoros tholozani ダニが伝播する.われわれは,TBRF 予防のためのダニ曝露後の治療について,安全性と有効性を検討した.

方 法

二重盲検プラセボ対照試験において,ダニ曝露の疑いがある健常被験者 93 例(ダニ刺咬跡がみられる被験者 52 例,刺咬跡はないが同様のダニ接触リスクがある濃厚接触者 41 例)を,TBRF への曝露が推定されたあとに,ドキシサイクリン(Dexxon;1 日目に 200 mg,その後 4 日間 100 mg/日を投与)群またはプラセボ群に無作為に割付けた.TBRF 症例の定義は,発熱がみられることと血液塗抹検査陽性とした.Borrelia burgdorferi との交差反応性を調べるために血清学的分析を行い,borrelia glpQ 遺伝子について PCR 法を行った.

結 果

無作為化後,被験者 47 例(ダニ刺咬跡のある被験者 26 例,濃厚接触者 21 例)にドキシサイクリンを投与し,残りの 46 例(ダニ刺咬跡のある被験者 26 例,濃厚接触者 20 例)にプラセボを投与した.血液塗抹検査陽性で TBRF が確認された 10 例は,全例がプラセボ群でダニ刺咬跡があった被験者であった(P<0.001).この結果から,予防的治療の有効性は 100%(95%信頼区間 46~100%)であると考えられた.borrelia glpQ 遺伝子の PCR の結果は,ベースライン時にはすべての被験者で陰性であったが,その後,発熱がみられ血液塗抹検査陽性となった被験者では,全例が陽性となった.TBRF 患者 9 例のうち,8 例でセロコンバージョンが確認された.検査したその他の患者では,全例が,PCR,血清検査ともに陰性であった.治療による重大な有害作用は認められなかった.

結 論

ドキシサイクリンによる治療は,リスクの高い環境でのダニ曝露が疑われる場合に,TBRF の予防において安全かつ有効である.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00237016)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 148 - 55. )