The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

October 19, 2006 Vol. 355 No. 16

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

重度の症候性頸動脈狭窄患者における頸動脈内膜切除術とステント留置術の比較
Endarterectomy versus Stenting in Patients with Symptomatic Severe Carotid Stenosis

J.-L. Mas and Others

背景

頸動脈ステント留置術は頸動脈内膜切除術よりも侵襲性が低いが,症候性頸動脈狭窄の患者において同程度安全であるかどうかは不明である.

方 法

60%以上の症候性頸動脈狭窄を有する患者において,ステント留置術と頸動脈内膜切除術を比較するため,多施設共同無作為化非劣性試験を実施した.主要エンドポイントは,治療後 30 日以内の全脳卒中と全死亡の発生率とした.

結 果

この臨床試験は,患者 527 例を組み入れたのち,安全性と無益性の両方の理由により早期に中止された.30 日間の全脳卒中と全死亡の発生率は,頸動脈内膜切除術群で 3.9%(95%信頼区間 [CI] 2.0~7.2),ステント留置術群で 9.6%(95% CI 6.4~14.0)であった.ステント留置術の全脳卒中と全死亡の相対リスクは,頸動脈内膜切除術との比較で 2.5(95% CI 1.2~5.1)であった.障害の残る脳卒中と死亡の 30 日間の発生率は,頸動脈内膜切除術群で 1.5%(95% CI 0.5~4.2),ステント留置術群で 3.4%(95% CI 1.7~6.7)で,相対リスクは 2.2(95% CI 0.7~7.2)であった.6 ヵ月の時点では,全脳卒中と全死亡の発生率は,頸動脈内膜切除術群で 6.1%,ステント留置術群で 11.7%であった(P=0.02).ステント留置術群では重大な局所合併症が多く,頸動脈内膜切除術群では全身合併症(主に肺)が多かったが,その差は有意ではなかった.脳神経損傷は,頸動脈内膜切除術群のほうがステント留置術群よりも多かった.

結 論

60%以上の症候性頸動脈狭窄を有する患者を対象としたこの試験では,1 ヵ月後と 6 ヵ月後の死亡と脳卒中の発生率は,頸動脈内膜切除術のほうがステント留置術よりも低かった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00190398)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2006; 355 : 1660 - 71. )