タンザニアの HIV 陰性女性におけるビタミン剤投与と周産期の転帰
Vitamins and Perinatal Outcomes among HIV-Negative Women in Tanzania
W.W. Fawzi and Others
未熟分娩と低出生体重は,とくに発展途上国において,高い周産期死亡率および高い新生児死亡率に関連している.母体の微量栄養素欠乏が,このような有害転帰に寄与している可能性がある.
タンザニアのダルエスサラームにて二重盲検試験を行い,ヒト免疫不全ウイルス感染陰性の妊娠女性 8,468 例(胎児の在胎週数 12~27 週)を,総合ビタミン剤(推奨栄養所要量の数倍量の成分を含む)の連日投与を受ける群とプラセボ投与を受ける群に無作為に割り付けた.女性は全員,出産前の栄養補助として鉄と葉酸を摂取した.主要転帰評価項目は,低出生体重(2,500 g 未満),未熟分娩,胎児死亡とした.
低出生体重児出生率は,総合ビタミン剤投与群では 7.8%,プラセボ投与群では 9.4%であった(相対リスク 0.82,95%信頼区間 [CI] 0.70~0.95,P=0.01).両群間で,出生体重の平均差はわずかであった(67 g,P<0.001).未熟児出生率は総合ビタミン剤投与群で 16.9%,プラセボ投与群で 16.7%であり(相対リスク 1.01,95% CI 0.91~1.11,P=0.87),胎児死亡率はそれぞれ 4.3%,5.0%であった(相対リスク 0.87,95% CI 0.72~1.05,P=0.15).栄養補助により,在胎週数に比して出生児の大きさが小さくなるリスク(10 パーセンタイル未満は総合ビタミン剤投与群で 10.7%,プラセボ投与群で 13.6%;相対リスク 0.77;95% CI 0.68~0.87;P<0.001)と母体貧血のリスク(ヘモグロビン濃度 11 g/dL 未満,相対リスク 0.88,95% CI 0.80~0.97,P=0.01)は低減したが,平均ヘモグロビン濃度の群間差は小さかった(0.2 g/dL,P<0.001).
総合ビタミン剤による栄養補助で,低出生体重児ならびに在胎週数に比して小さい児の出生率は低下したが,未熟分娩および胎児死亡に対する有意な影響はみられなかった.発展途上国のすべての妊娠女性に対して,総合ビタミン剤の投与を考慮すべきである.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00197548)