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January 11, 2007 Vol. 356 No. 2

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家族性高コレステロール血症におけるミクロゾームトリグリセリド転移蛋白の阻害
Inhibition of Microsomal Triglyceride Transfer Protein in Familial Hypercholesterolemia

M. Cuchel and Others

背景

ホモ接合性家族性高コレステロール血症の患者では,コレステロール値が著しく上昇し,薬物療法に対する反応性が乏しい.また,これらの患者では早発性心血管疾患のリスクが非常に高い.ミクロゾームトリグリセリド転移蛋白の阻害が,これらの患者のコレステロール値を低下させるのに有効である可能性がある.

方 法

ホモ接合性家族性高コレステロール血症の患者 6 例を対象に用量漸増試験を実施し,ミクロゾームトリグリセリド転移蛋白阻害薬である BMS-201038 の,脂質レベルに対する効果,忍容性,安全性を評価した.脂質低下療法はすべて治療開始 4 週間前から中止した.患者に BMS-201038 を異なる 4 用量(0.03,0.1,0.3,1.0 mg/kg 体重/日)でそれぞれ 4 週間投与し,4 週間のウォッシュアウト期間後を最後の受診とした.脂質レベルの解析,安全性に関する検査値の解析,および磁気共鳴画像法による肝脂肪量の測定を,試験期間を通じて実施した.

結 果

すべての患者が,最大用量である 1.0 mg/kg/日に忍容性を示した.この用量での治療により,ベースラインから LDL コレステロール値が 50.9%,アポリポ蛋白 B 値が 55.6%低下した(両比較について P<0.001).薬物動態研究から,アポリポ蛋白 B 産生の著しい低下が示された.もっとも重篤な有害事象は,肝アミノトランスフェラーゼ値の上昇と肝脂肪蓄積であり,蓄積量は最大用量で 10%未満~40%超であった.

結 論

ホモ接合性家族性高コレステロール血症の患者において,BMS-201038 を用いたミクロゾームトリグリセリド転移蛋白の阻害により,アポリポ蛋白 B の産生が低下し,それに伴って LDL コレステロール値が低下した.しかし,この治療は,肝アミノトランスフェラーゼ値の上昇ならびに肝脂肪蓄積と関連した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 148 - 56. )