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January 11, 2007 Vol. 356 No. 2

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周産期におけるネビラピン単回投与後の抗レトロウイルス療法への反応
Response to Antiretroviral Therapy after a Single, Peripartum Dose of Nevirapine

S. Lockman and Others

背景

分娩時のネビラピン単回投与により,ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)の周産期感染は減少するが,母親および新生児でウイルスの耐性突然変異がよく起る.

方 法

ボツワナで行われた HIV-1 の母子感染の予防に関する試験で,以前にネビラピンまたはプラセボの周産期単回投与へ無作為に割り付けられた母親と新生児を対象に,ネビラピンを基本とした抗レトロウイルス療法に対する反応を調べた.すべての母親に対し出産前にジドブジンを投与した.母親と新生児に関する主要エンドポイントは,抗レトロウイルス療法開始から 6 ヵ月後の来院までのウイルス学的失敗とし,Kaplan-Meier 法により群内で推定した.

結 果

抗レトロウイルス療法を開始した女性 218 例のうち,112 例はネビラピンの単回投与を受け,106 例はプラセボ投与を受けた.抗レトロウイルス療法開始から 6 ヵ月後の来院までにウイルス学的失敗が認められたのは,プラセボ投与群では 5%であったのに対し,ネビラピン単回投与群では 18.4%であった(P=0.002).プラセボまたはネビラピンの単回投与後 6 ヵ月以内に抗レトロウイルス療法を開始した女性 60 例のうち,ウイルス学的失敗をきたした女性はプラセボ群では認められず,ネビラピン群では 41.7%であった(P<0.001).一方,分娩後 6 ヵ月以上経ってから抗レトロウイルス療法を開始した女性 158 例では,ウイルス学的失敗をきたした割合に,プラセボ群(7.8%)とネビラピン群(12.0%)で有意差は認められなかった(P=0.39).また,新生児 30 例(プラセボ群 15 例,ネビラピン群 15 例)で抗レトロウイルス療法を開始した.6 ヵ月後の来院時までにウイルス学的失敗をきたした新生児数は,プラセボ群よりもネビラピン単回投与群で有意に多かった(P<0.001).抗レトロウイルス療法の開始から 12 ヵ月後および 24 ヵ月後までに,母親と新生児の所見に質的な変化はみられなかった.

結 論

HIV-1 の周産期感染を予防するためにネビラピンの単回投与を受けた女性では,ネビラピン投与を受けたことのない女性と比べて,その後のネビラピンを基本とした抗レトロウイルス療法のウイルス学的失敗率は高くなった.ただし,この結果は,周産期のネビラピン単回投与後 6 ヵ月以内に,ネビラピンを基本とした抗レトロウイルス療法を開始した場合にのみ当てはまった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00197587)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 135 - 47. )