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April 12, 2007 Vol. 356 No. 15

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高齢者の神経膠芽腫に対する放射線療法
Radiotherapy for Glioblastoma in the Elderly

F. Keime-Guibert and Others

背景

70 歳以上の患者の神経膠芽腫に対する治療の一般的基準はない.そのような患者を対象として,放射線療法と支持療法を併用する治療法と支持療法単独とを比較する無作為化試験を実施した.

方 法

新たに未分化星細胞腫または神経膠芽腫と診断され,Karnofsky performance score が 70 以上である 70 歳以上の患者を,支持療法単独または支持療法+放射線療法(1 日分割線量 1.8 Gy の焦点放射線療法を週 5 日間,合計線量 50 Gy)に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは全生存期間とし,副次的エンドポイントは無増悪生存期間,放射線療法の忍容性,健康関連 QOL,認知機能とした.

結 果

10 施設の患者 85 例を,放射線療法+支持療法または支持療法単独に無作為に割り付けた.最初の中間解析で,事前に設定した有効性の基準(有意水準)により,放射線療法+支持療法は支持療法単独よりも優れていることが明らかとなったため試験を中止した.最終解析は,神経膠芽腫患者 81 例で行われた(年齢中央値 73 歳,範囲 70~85 歳).追跡調査の中央値 21 週の時点で,放射線療法+支持療法を受けた 39 例の生存期間中央値は 29.1 週であったのに対し,支持療法のみを受けた 42 例では 16.9 週であった.放射線療法群における死亡のハザード比は 0.47 であった(95%信頼区間 0.29~0.76,P=0.002).放射線療法に関連する重篤な有害事象は認められなかった.QOL および認知機能評価の経時的な成績には,治療群間で有意差は認められなかった.

結 論

神経膠芽腫の高齢患者では,放射線療法により,QOL や認知機能が低下することなく,生存期間がわずかに改善した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00430911)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 1527 - 35. )