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April 12, 2007 Vol. 356 No. 15

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キューバにおける不活化ポリオウイルスワクチンの無作為化プラセボ対照試験
Randomized, Placebo-Controlled Trial of Inactivated Poliovirus Vaccine in Cuba

The Cuba IPV Study Collaborative Group

背景

急性灰白髄炎(ポリオ)が根絶されれば,生ポリオウイルスの利用は厳しく制限され,経口ポリオウイルスワクチン(OPV)はおそらく使用中止になると考えられる.OPV を使用している国々は,不活化ポリオウイルスワクチン(IPV)へ変更するか,ポリオワクチン接種を中止しなければならない.熱帯の発展途上国では IPV の免疫原性に関するデータが限られていることから,キューバにおいて IPV の無作為化対照試験を実施した.

方 法

試験対象集団は,ハバナで生まれた健常乳児とした.計 166 例の乳児を 2 群に無作為に割り付けた.A 群には,ジフテリア・百日咳・破傷風(DPT)の三種混合ワクチン,インフルエンザ菌 b 型(Hib)ワクチン,および IPV の複合ワクチン(DPT-Hib-IPV)を,生後 6 週,10 週,14 週に接種した.B 群(対照群)には,DPT ワクチンと Hib ワクチンの複合ワクチンを,生後 6 週,10 週,14 週に接種した.もう 1 つの群(C 群,乳児 100 例)には,A 群,B 群と同時に無作為化を行わずに,DPT-Hib-IPV の複合ワクチンを生後 8 週と 16 週に接種した.血清検体は,ワクチン接種前と,最後のワクチン接種後 4 週以降に採取した.便検体は,OPV 投与前と投与後 7 日目に採取した.

結 果

A 群のセロコンバージョン率は,ポリオウイルス 1 型,2 型,3 型に対してそれぞれ 94%,83%,100%であった.B 群ではセロコンバージョンは認められなかった.C 群のセロコンバージョン率は,ポリオウイルス 1 型,2 型,3 型に対してそれぞれ 90%,89%,90%であった.A 群,B 群,C 群について,OPV 投与後のウイルス分離率はそれぞれ 94%,91%,97%であり,いずれかの血清型についての log10 ウイルス力価の平均はそれぞれ 3.46,3.89,3.37 であった.重大な有害事象(低血圧エピソード)が 1 件認められた.

結 論

2 回または 3 回の IPV 接種により,ポリオウイルス 2 型に対する場合を除き,90%以上のセロコンバージョン率が得られた.OPV 投与後に便中に排泄される OPV のウイルス力価は,IPV 投与を受けた両群で減少した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00260312)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 1536 - 44. )