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April 19, 2007 Vol. 356 No. 16

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家族性高コレステロール血症の頸動脈アテローム硬化に対するトルセトラピブの作用
Effect of Torcetrapib on Carotid Atherosclerosis in Familial Hypercholesterolemia

J.J.P. Kastelein and Others

背景

コレステリルエステル転送蛋白阻害薬であるトルセトラピブ(torcetrapib)は,高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール値を上昇させることによって,アテローム硬化性血管疾患を減少させる可能性がある.

方 法

ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症の患者計 850 例を対象に,ベースラインと追跡検査時に B モード超音波検査を行って頸動脈内膜中膜複合体厚の変化を測定した.アトルバスタチンの導入期間終了後に,患者を 2 年間のアトルバスタチン単独投与またはアトルバスタチンとトルセトラピブ 60 mg の併用投与に無作為に割り付けた.

結 果

24 ヵ月後,アトルバスタチン単独群の平均(±SD)HDL コレステロール値は 52.4±13.5 mg/dL,平均低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値は 143.2±42.2 mg/dL であったのに対し,トルセトラピブ+アトルバスタチン群ではそれぞれ 81.5±22.6 mg/dL,115.1±48.5 mg/dL であった.試験期間中,トルセトラピブ+アトルバスタチン群では,平均収縮期血圧がアトルバスタチン単独群に比べて 2.8 mmHg 上昇した.主要有効性評価項目である最大頸動脈内膜中膜複合体厚の増加は,アトルバスタチン単独群では 0.0053±0.0028 mm/年,トルセトラピブ+アトルバスタチン群では 0.0047±0.0028 mm/年であった(P=0.87).副次的有効性評価項目である総頸動脈内膜中膜複合体厚の平均値の年間変化は,アトルバスタチン単独群で 0.0014 mm/年減少したのに対し,トルセトラピブ+アトルバスタチン群では 0.0038 mm/年増加した(P=0.005).

結 論

家族性高コレステロール血症の患者において,トルセトラピブとアトルバスタチンの併用投与は,アトルバスタチン単独投与と比べて,頸動脈壁厚の複合評価項目で評価したアテローム硬化の進行を低下させることなく,総頸動脈部の疾患進行と関連した.これらの作用は,HDL コレステロール値が大幅に上昇し,LDL コレステロール値とトリグリセリド値が大きく低下したにもかかわらず生じた.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00136981)

本論文(10.1056/NEJMoa071359)は,2007 年 3 月 26 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 1620 - 30. )