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May 31, 2007 Vol. 356 No. 22

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進行性腎細胞癌に対するテムシロリムス,インターフェロン α,およびその併用
Temsirolimus, Interferon Alfa, or Both for Advanced Renal-Cell Carcinoma

G. Hudes and Others

背景

インターフェロン α は転移性腎細胞癌に対して広く使用されているが,有効性および忍容性に限界がある.哺乳類のラパマイシン標的蛋白キナーゼの特異的阻害薬であるテムシロリムス(temsirolimus)は,この疾患の患者に有益である可能性がある.

方 法

この多施設共同第 3 相試験では,過去に治療を受けていない予後不良の転移性腎細胞癌患者 626 例を,テムシロリムス 25 mg を週 1 回静脈内投与する群,インターフェロン α 300 万 U(1,800 万 U まで増量)を週 3 回皮下投与する群,または週 1 回のテムシロリムス 15 mg に加えてインターフェロン α 600 万 U を週 3 回投与する併用療法群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,テムシロリムス群と併用療法群をインターフェロン群と比較した全生存期間とした.

結 果

テムシロリムス単独投与群では,インターフェロン単独投与群と比べて,全生存期間(死亡のハザード比 0.73,95%信頼区間 [CI] 0.58~0.92,P=0.008)および無増悪生存期間(P<0.001)が長かった.併用療法群の全生存期間には,インターフェロン群と比べて有意差はみられなかった(ハザード比 0.96,95% CI 0.76~1.20,P=0.70).全生存期間の中央値は,インターフェロン群で 7.3 ヵ月,テムシロリムス群で 10.9 ヵ月,併用療法群で 8.4 ヵ月であった.テムシロリムス群では,皮疹,末梢性浮腫,高血糖,高脂血症が高頻度で認められたが,インターフェロン群では無力症が高頻度で認められた.重篤な有害事象が認められた患者は,テムシロリムス群のほうがインターフェロン群よりも少なかった(P=0.02).

結 論

インターフェロン α と比較して,テムシロリムスにより予後不良の転移性腎細胞癌患者の全生存期間が改善した.インターフェロンにテムシロリムスを併用しても,生存期間は改善しなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00065468)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 2271 - 81. )