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February 15, 2007 Vol. 356 No. 7

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乳幼児における弱毒生インフルエンザワクチンと不活化インフルエンザワクチンの比較
Live Attenuated versus Inactivated Influenza Vaccine in Infants and Young Children

R.B. Belshe and Others

背景

最近,米国の諮問機関は 6~59 ヵ月齢の乳幼児すべてに三価不活化インフルエンザワクチンを接種することを推奨している.ほかに選択しうるワクチン接種法を評価するために,乳幼児を対象に,鼻腔内投与による弱毒生インフルエンザワクチンと不活化ワクチンの安全性と有効性を比較した.

方 法

喘鳴症状または重度喘息の最近のエピソードを認めない 6~59 ヵ月齢の乳幼児を,低温適応の三価弱毒生インフルエンザワクチン(低温で安定な鼻腔内投与の弱毒生インフルエンザワクチン製剤)接種または三価不活化インフルエンザワクチン接種に,二重盲検法により 1 対 1 の割合で無作為に割り付けた.2004~05 年のインフルエンザ流行期に,培養検査によりインフルエンザ様疾患を監視した.

結 果

8,352 例の安全性データが得られ,7,852 例がプロトコールに従って試験を完了した.培養検査により確認された症例数は,弱毒生ワクチン接種群では不活化ワクチン接種群よりも 54.9%少なかった(153 例 対 338 例,P<0.001).抗原性がよく一致するウイルスと抗原連続変異を起したウイルスのいずれに対しても,弱毒生ワクチンは不活化ワクチンと比べて優位な有効性を示した.過去にワクチン接種を受けていない乳幼児において,1 回目の接種から 42 日以内の喘鳴は,不活化ワクチンよりも弱毒生ワクチンで高頻度に発生し,主に 6~11 ヵ月齢の乳児でみられた.また,この年齢群では,1 回目の接種から 42 日以内の喘鳴エピソードは,弱毒生ワクチン接種群(3.8%)のほうが不活化ワクチン接種群(2.1%)よりも 12 件多かった(P=0.076).ワクチン接種後 180 日間のあらゆる原因による入院率は,6~11 ヵ月齢の乳児では,弱毒生ワクチン接種群(6.1%)のほうが不活化ワクチン接種群(2.6%)よりも高かった(P=0.002).

結 論

乳幼児において,弱毒生ワクチンは不活化ワクチンよりも有意に優れた有効性を示した.リスクと利益の評価から,弱毒生ワクチンは,喘息や喘鳴の既往を認めない 12~59 ヵ月齢の幼児において,きわめて有効かつ安全なワクチンであると考えられる.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00128167)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 685 - 96. )