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February 22, 2007 Vol. 356 No. 8

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単純ヘルペスウイルス抑制療法による HIV-1 RNA 濃度の低下
Reduction of HIV-1 RNA Levels with Therapy to Suppress Herpes Simplex Virus

N. Nagot and Others

背景

疫学データから,単純ヘルペスウイルス 2 型(HSV-2)への感染に関連して,生殖器からのヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)RNA の放出量と HIV-1 感染性が増加することが示唆されている.

方 法

アフリカ西部のブルキナファソにおいて,HIV-1,HSV-2 の両方が血清陽性の女性を対象に,バラシクロビル(500 mg,1 日 2 回)を用いた HSV 抑制療法の無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った.全例が高活性の抗レトロウイルス療法には不適格であった.患者を 24 週間(無作為化前 12 週間と無作為化後 12 週間)追跡した.回帰モデルを用いて,バラシクロビルの投与期間における生殖器および血漿中の HIV-1 RNA と生殖器中の HSV-2 DNA の有無ならびに含有量に対する効果を測定し,ベースライン値で補正した.また,経時的効果も評価した.

結 果

計 140 例を各治療群に無作為に割り付け,136 例を解析に含めた.登録時,CD4 細胞数の中央値は 446 個/mm3 で,平均血漿ウイルス量は 4.44 log10 コピー/mL であった.総合尺度解析では,バラシクロビルによる治療は,生殖器中の HIV-1 RNA の頻度(オッズ比 0.41,95%信頼区間 [CI] 0.21~0.80)とウイルスの平均含有量(-0.29 log10 コピー/mL,95% CI -0.44~-0.15)の有意な低下と関連していた.一方,HIV の検出に有意な低下は認められなかった(リスク比 0.93,95% CI 0.81~1.07).また,HSV 抑制療法により,血漿中の平均 HIV-1 RNA 濃度は 0.53 log10 コピー/mL 低下した(95% CI -0.72~-0.35).反復尺度解析では,3 ヵ月の追跡期間にこれらの効果が有意に強くなることが示された.

結 論

HSV 抑制療法により,HIV-1 と HSV-2 に二重感染した女性において,生殖器および血漿中の HIV-1 RNA 濃度が有意に低下した.この知見は,HIV の管理において重要な意味をもつ可能性がある.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00158509)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 356 : 790 - 9. )