September 6, 2007 Vol. 357 No. 10
洞結節障害における心房細動を低減するための心室ペーシングの最少化
Minimizing Ventricular Pacing to Reduce Atrial Fibrillation in Sinus-Node Disease
M.O. Sweeney and Others
通常の二腔ペーシングは房室同期を維持するが,心室ペーシングの割合が高くなる.これは心室の非同期化(desynchronization)の原因となり,洞結節障害患者における心房細動のリスク上昇との関連が示されている.
房室伝導,QRS 間隔が正常な洞結節障害患者 1,065 例を,通常の二腔ペーシング(535 例)と,房室伝導の促進,心室伝導の保持,および心室の非同期化予防のためにデザインされた新しい特性をもつペースメーカーを用いた,最少化二腔心室ペーシング(530 例)のいずれかに無作為に割り付けた.一次エンドポイントは持続性心房細動発生までの期間とした.
平均(±SD)追跡期間は,一次エンドポイントに達したために試験が中断された時点で 1.7±1.0 年であった.心室ペーシング率の中央値は,最少化二腔心室ペーシングのほうが通常の二腔ペーシングよりも低く(9.1% 対 99.0%,P<0.001),一方,心房ペーシング率は両群間で同等であった(71.4% 対 70.4%,P=0.96).持続性心房細動は 110 例で発生し,内訳は通常の二腔ペーシング群 68 例(12.7%),最少化二腔心室ペーシング群 42 例(7.9%)であった.最少化二腔心室ペーシング群における持続性心房細動発生のハザード比は,通常の二腔ペーシング群に対して 0.60(95%信頼区間 0.41~0.88,P=0.009)であり,相対リスクの 40%の低下を示唆している.リスクの絶対的低下は 4.8%であった.死亡率は両群で同等であった(最少化二腔心室ペーシング群 4.9% 対 通常の二腔ペーシング群 5.4%,P=0.54).
最少化二腔心室ペーシングは,通常の二腔ペーシングと比較して,心室の非同期化を予防し,洞結節障害患者における持続性心房細動のリスクを中等度に低減させる.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00284830)