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September 13, 2007 Vol. 357 No. 11

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静脈血栓塞栓症に対するイドラパリヌクスと標準療法との比較
Idraparinux versus Standard Therapy for Venous Thromboembolic Disease

The van Gogh Investigators

背景

静脈血栓塞栓症は,未分画ヘパリンまたは低分子ヘパリンを投与後,ビタミン K 拮抗薬を投与して治療する.標準療法の代替法として,長時間作用型の活性型第 X 因子阻害薬であるイドラパリヌクス(idraparinux)の使用可能性を検討した.

方 法

深部静脈血栓症患者 2,904 例と肺塞栓症患者 2,215 例を対象に,2 つの無作為化非盲検非劣性試験を実施し,イドラパリヌクスと標準療法の有効性と安全性を比較した.患者に対して,イドラパリヌクスの皮下投与(週 1 回 2.5 mg),またはヘパリン+用量調整したビタミン K 拮抗薬の投与を,3 ヵ月または 6 ヵ月間行った.有効性に関する主要転帰は,3 ヵ月間における症候性の静脈血栓塞栓症(致死的または非致死的)の再発率とした.

結 果

深部静脈血栓症患者の試験では,92 日目の再発率は,標準療法群で 3.0%,イドラパリヌクス群で 2.9%であり(オッズ比 0.98,95%信頼区間 [CI] 0.63~1.50),事前に規定した非劣性条件を満たす結果となった.6 ヵ月の時点で,イドラパリヌクスのハザード比は 1.01 であった.92 日目における臨床的に関連のある出血の発生率は,イドラパリヌクス群で 4.5%,標準療法群で 7.0%であった(P=0.004).6 ヵ月の時点での出血の発生率は同等であった.肺塞栓症患者の試験では,92 日目の再発率は,イドラパリヌクス群で 3.4%,標準療法群で 1.6%であり(オッズ比 2.14,95% CI 1.21~3.78),非劣性条件を満たさなかった.

結 論

深部静脈血栓症患者において,3 ヵ月または 6 ヵ月間にわたる週 1 回のイドラパリヌクス皮下投与に,ヘパリン+ビタミン K 拮抗薬の併用療法と同等の有効性が認められた.しかし,肺塞栓症患者では,イドラパリヌクスは標準療法よりも有効性が低かった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00067093 および NCT00062803)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 1094 - 104. )