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October 25, 2007 Vol. 357 No. 17

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曝露後の予防のための A 型肝炎ワクチンと免疫グロブリンの比較
Hepatitis A Vaccine versus Immune Globulin for Postexposure Prophylaxis

J.C. Victor and Others

背景

A 型肝炎ウイルスへの曝露後に投与される A 型肝炎ワクチンと,ウイルスへの曝露後 2 週間以内の投与が A 型肝炎の予防にきわめて有効なことが知られている免疫グロブリンとの直接比較は行われていない.

方 法

カザフスタンのアルマティ(Almaty)にて,家庭内およびデイケアセンターにおける A 型肝炎患者との接触者(年齢 2~40 歳)を,接触後 14 日以内に,年齢に応じた標準用量の A 型肝炎ワクチンまたは免疫グロブリンの 1 回投与に無作為に割り付けた.その後,感受性を示す接触者全員を対象に積極的な追跡調査を行い,曝露後 15~56 日に発症し,臨床検査で確認された症候性の A 型肝炎感染の発生率を評価した.

結 果

無作為化した接触者 4,524 例中,1,414 例(31%)が A 型肝炎ウイルスに感受性を示し,1,090 例がプロトコールに基づく(per-protocol)解析に適格であった.これらの接触者のうち,568 例に A 型肝炎ワクチンを,522 例に免疫グロブリンを投与した.接触者の大部分は小児(平均年齢 12 歳)であり,そのほとんどが曝露後 2 週目までに予防投与を受けた(曝露後の平均期間 10 日).接触者のベースライン特性は,両群で同等であった.A 型肝炎ウイルスによる症候性感染が,ワクチン群の 25 例(4.4%)と免疫グロブリン群の 17 例(3.3%)で確認された(相対リスク 1.35,95%信頼区間 0.70~2.67).

結 論

両群における A 型肝炎の発生率の低さは,A 型肝炎ワクチンおよび免疫グロブリンが曝露後の予防に有効であることを示している.ワクチン接種者で発生率がわずかに高いことは,非劣性に関して事前に規定した研究の基準を満たしていたものの,有効性におけるある程度の差異を示すものと考えられ,一部の状況においては臨床的に意味をもつ可能性がある.ワクチンには,長期予防などほかの利点もあり,多くの環境において,免疫グロブリンに代わる妥当な曝露後の予防法となる可能性がある.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00139139)

本論文(10.1056/NEJMoa070546)は,2007 年 10 月 18 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 1685 - 94. )