October 25, 2007 Vol. 357 No. 17
切除不能頭頸部癌に対するシスプラチン,フルオロウラシル,およびドセタキセル
Cisplatin, Fluorouracil, and Docetaxel in Unresectable Head and Neck Cancer
J.B. Vermorken and Others
第 2 相試験において,シスプラチンとフルオロウラシルの標準療法(PF 療法)にドセタキセルを加えること(TPF 療法)により,頭頸部扁平上皮癌の転帰が改善することが示唆されている.局所進行性切除不能癌の患者に対する導入化学療法としての TPF 療法と PF 療法を比較した.
病期 III 期または IV 期の癌を有し遠隔転移を認めない 18~70 歳の適格患者を,TPF 療法(1 日目:ドセタキセルおよびシスプラチン投与,1~5 日目:フルオロウラシル持続注入),または PF 療法(3 週間に 1 回を 4 サイクル)のいずれかに無作為に割り付けた.疾患進行が認められない患者には,化学療法終了後 4~7 週以内に放射線療法を実施した.主要エンドポイントは無増悪生存期間とした.
計 358 例の患者を無作為化し,TPF 群に 177 例,PF 群に 181 例を割り付けた.追跡調査期間中央値 32.5 ヵ月の時点で,無増悪生存期間の中央値は,TPF 群で 11.0 ヵ月,PF 群で 8.2 ヵ月であった(TPF 群の疾患進行または死亡に対するハザード比 0.72,P=0.007).TPF による治療の結果,死亡リスクが 27%低下した(P=0.02).全生存期間の中央値は,TPF 群で 18.8 ヵ月であったのに対し,PF 群では 14.5 ヵ月であった.TPF 群では白血球減少症および好中球減少症のグレード 3 または 4 の事象がより多くみられ,PF 群では血小板減少症,悪心,嘔吐,口内炎,聴覚障害のグレード 3 または 4 の事象が多くみられた.毒性作用による死亡率は,TPF 群で 2.3%,PF 群で 5.5%であった.
シスプラチンとフルオロウラシルによる標準療法と比較して,ドセタキセルを加えた導入化学療法により,頭頸部の切除不能扁平上皮癌患者における無増悪生存期間および全生存期間が有意に改善した.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00003888)