セルトリズマブ・ペゴルによるクローン病の維持療法
Maintenance Therapy with Certolizumab Pegol for Crohn's Disease
S. Schreiber and Others
セルトリズマブ・ペゴル(certolizumab pegol)は,腫瘍壊死因子 α に高い結合親和性を示し,T 細胞や単球のアポトーシスを誘発しないペグ化ヒト Fab' フラグメントである.
無作為化二重盲検プラセボ対照試験において,中等度から重度のクローン病の成人患者を対象に,セルトリズマブ・ペゴルによる維持療法の有効性を評価した.導入療法として,0 週目,2 週目,4 週目にセルトリズマブ・ペゴル 400 mg を皮下投与した.6 週目に臨床効果(クローン病活動性指数 [CDAI] がベースラインスコアから 100 ポイント以上低下した場合と定義)が認められた患者を,C 反応性蛋白のベースライン値に従って層別化し,セルトリズマブ・ペゴル 400 mg またはプラセボを 4 週間ごとに 24 週目まで投与する群に無作為に割り付け,26 週目まで追跡した.
導入療法により 6 週目の時点で効果が認められた患者(668 例中 428 例 [64%])のうち,ベースラインの C 反応性蛋白値が 10 mg/L 以上の患者で効果が 26 週目まで持続した(主要エンドポイント)のは,セルトリズマブ・ペゴル投与患者で 62%(プラセボ投与患者では 34%,P<0.001),intention-to-treat 集団のセルトリズマブ・ペゴル投与患者で 63%であった(プラセボ投与患者では 36%,P<0.001).導入療法において 6 週目の時点で効果がみられた患者のうち,26 週の時点で寛解(CDAI スコア 150 以下と定義)を達成したのは,セルトリズマブ・ペゴル群の 48%,プラセボ群の 29%であった(P<0.001).また,セルトリズマブ・ペゴルの有効性は,グルココルチコイドや免疫抑制薬の服用の有無,過去のインフリキシマブ投与の有無にかかわらず認められた.感染性の重篤な有害事象(肺結核 1 例を含む)は,セルトリズマブ・ペゴル群の 3%とプラセボ群の 1%未満で発生した.抗核抗体はセルトリズマブ群の 8%で出現し,セルトリズマブ・ペゴルに対する抗体は導入療法を受けた全患者の 9%で出現した.
中等度から重度のクローン病で,セルトリズマブ・ペゴル 400 mg による導入療法が奏効した患者では,セルトリズマブ・ペゴルの投与を継続するほうが,プラセボに切り替えるよりも 26 週の時点で効果の維持や寛解を認める可能性が高かった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00152425)