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August 9, 2007 Vol. 357 No. 6

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補体 C3 の変異と加齢黄斑変性症のリスク
Complement C3 Variant and the Risk of Age-Related Macular Degeneration

J.R.W. Yates and Others

背景

加齢黄斑変性症は,欧米諸国における失明の原因としてもっとも多い.この疾患の感受性は,加齢,遺伝的要因,環境要因の影響を受ける.その発症機序には補体の活性化が関与している.

方 法

イングランド南東部の症例および対照被験者を対象として,加齢黄斑変性症と,補体遺伝子 C3C5 にみられる 13 種の一塩基多型(SNP)との関連を検証した.すべての被験者は眼科医の診察を受け,疾患状態の確認のため眼底写真の独立した評価を受けた.もっとも重要な所見を再確認するため,スコットランドの症例と対照被験者の遺伝子型を解析した.

結 果

C3 遺伝子でよくみられる機能的多型 rs2230199(Arg80Gly)は,電気泳動で検出される変異型 C3S(移動が遅い)と C3F(移動が速い)に一致するが,この多型について,イングランド群(症例 603 例,対照 350 例;P=5.9×10-5)とスコットランド群(症例 244 例,対照 351 例;P=5.0×10-5)の両群で加齢黄斑変性症との強い関連が認められた.C3 S/S ホモ接合体と比較した加齢黄斑変性症のオッズ比は,S/F ヘテロ接合体で 1.7(95%信頼区間 [CI] 1.3~2.1)であり,F/F ホモ接合体では 2.6(95% CI 1.6~4.1)であった.C3F の人口寄与危険度は推定で 22%であった.

結 論

補体 C3 は,加齢黄斑変性症の発症機序において重要である.今回の所見は,発症機序に補体経路が影響を及ぼしていることを,よりいっそう強調するものである.

本論文(10.1056/NEJMoa072618)は,2007 年 7 月 18 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2007; 357 : 553 - 61. )