August 16, 2007 Vol. 357 No. 7
薬剤中絶とその後の妊娠における有害転帰のリスク
Medical Abortion and the Risk of Subsequent Adverse Pregnancy Outcomes
J. Virk, J. Zhang, and J. Olsen
妊娠第 1 期の外科的中絶の長期的な安全性は十分に確立されている.薬剤中絶(薬剤投与による中絶)が増加しているにもかかわらず,その後の妊娠に対する薬剤中絶の影響に関する情報は限られている.
1999~2004 年に医学的理由以外の理由で中絶を受けたデンマーク在住の全女性を特定し,全国登録からそれ以降の妊娠に関する情報を入手した.妊娠第 1 期に薬剤中絶を受けた女性において,次回の妊娠時に子宮外妊娠,自然流産,早期産(妊娠 37 週未満),低出生体重児出産(2,500g 未満)が発生するリスクについて,妊娠第 1 期に外科的中絶を受けた女性におけるリスクと比較した.
前回の妊娠で第 1 期に薬剤中絶を受けた女性(2,710 例)および外科的中絶を受けた女性(9,104 例)の妊娠 11,814 例において,子宮外妊娠は 274 例(発生率は,薬剤中絶群 2.4%,外科的中絶群 2.3%),自然流産は 1,426 例(12.2%,12.7%),早期産は 552 例(5.4%,6.7%),低出生体重児出産は 478 例(4.0%,5.1%)発生した.母体の年齢,妊娠と妊娠のあいだの期間,中絶時の妊娠週数,出産経験,同居状況,および都市居住か非都市居住かで補正した結果,薬剤中絶は,子宮外妊娠(相対リスク 1.04,95%信頼区間 [CI] 0.76~1.41),自然流産(相対リスク 0.87,95% CI 0.72~1.05),早期産(相対リスク 0.88,95% CI 0.66~1.18),低出生体重児出産(相対リスク 0.82,95% CI 0.61~1.11)のいずれについても,リスクの有意な増加とは関連していなかった.また,薬剤中絶時の妊娠週数とこれらすべての有害転帰とのあいだに,有意な関連は認められなかった.
前回の妊娠時における薬剤中絶により,外科的中絶と比較して,自然流産,子宮外妊娠,早期産,低出生体重児出産のリスクが増加するというエビデンスは認められなかった.