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March 20, 2008 Vol. 358 No. 12

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メポリズマブによる好酸球増多症候群患者の治療
Treatment of Patients with the Hypereosinophilic Syndrome with Mepolizumab

M.E. Rothenberg and Others

背景

好酸球増多症候群は,持続的な血中の好酸球増多を特徴とする疾患群であり,好酸球数が 1,500/μL 以上で,終末器官が侵され,二次的な原因を認めないものと定義される.患者の大部分は副腎皮質ステロイドに反応するが,副作用の頻度が高く,かなりわるい状態にいたることもある.

方 法

好酸球増多症候群患者を対象に,無作為化二重盲検プラセボ対照国際試験を実施し,抗インターロイキン-5 モノクローナル抗体メポリズマブ(mepolizumab)の安全性と有効性を評価した.患者は FIP1L1-PDGFRA 融合遺伝子陰性であり,安定した臨床状態と血中好酸球数 1,000/μL 未満を維持するため,プレドニゾン 20~60 mg/日の単独療法を必要とした.患者にメポリズマブとプラセボのいずれかを静脈内投与し,その一方でプレドニゾンの投与量を漸減した.主要エンドポイントは,8 週以上の連続した期間において,プレドニゾン投与量が 10 mg/日以下に減少することとした.

結 果

主要エンドポイントに達した患者は,メポリズマブ群では 84%であったのに対し,プラセボ群では 43%で(ハザード比 2.90,95%信頼区間 [CI] 1.59~5.26,P<0.001),好酸球増多症候群の臨床的活動性の増加は観察されなかった.血中好酸球数 600/μL 未満が 8 週以上連続して達成されたのは,メポリズマブ群では 95%であったのに対し,プラセボ群では 45%であった(ハザード比 3.53,95% CI 1.94~6.45,P<0.001).重篤な有害事象は,メポリズマブ群の 7 例(死亡 1 件を含むイベント 14 件,平均 [±SD] 曝露期間 6.7±1.9 ヵ月)と,プラセボ群の 5 例(イベント 7 件,平均曝露期間 4.3±2.6 ヵ月)で発生した.

結 論

この研究は,好酸球を標的とするようデザインされたメポリズマブによる治療が,FIP1L1-PDGFRA 陰性の好酸球増多症候群患者において,副腎皮質ステロイドの減量につながる可能性を示している.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00086658)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 1215 - 28. )