March 27, 2008 Vol. 358 No. 13
4 つの人種・民族集団における冠動脈イベントの予測因子としての冠動脈カルシウム
Coronary Calcium as a Predictor of Coronary Events in Four Racial or Ethnic Groups
R. Detrano and Others
白人集団では,コンピュータ断層撮影(CT)による冠動脈カルシウムの測定値から,従来の冠動脈危険因子とは独立に冠動脈性心疾患が予測できる.しかし,その他の人種・民族集団において,冠動脈カルシウムが冠動脈性心疾患を予測するかどうかは明らかにされていない.
危険因子のデータを収集し,集団ベースの男女標本 6,722 例の冠動脈カルシウム検査を行った.内訳は,白人 38.6%,黒人 27.6%,ヒスパニック系 21.9%,中国系 11.9%であった.組入れ時に被験者には心血管疾患の臨床症状はなかった.追跡調査を中央値で 3.8 年間行った.
冠動脈イベントは 162 件みられ,そのうち 89 件は重大な事象(心筋梗塞や,冠動脈性心疾患による死亡)であった.冠動脈イベントの補正リスクは,冠動脈カルシウムのない被験者に比べて,冠動脈カルシウムスコアが 101~300 の被験者では 7.73 倍上昇し,スコアが 300 を超える被験者では 9.67 倍上昇した(両比較とも P<0.001).4 つの人種・民族集団では,カルシウムスコアが 2 倍になると重大な冠動脈イベントのリスクは 15~35%上昇し,全冠動脈イベントのリスクは 18~39%上昇した.重大な冠動脈イベントおよび全冠動脈イベントの両方の予測に関する ROC 曲線下面積は,カルシウムスコアを標準的な危険因子に加えるとさらに増加した.
冠動脈カルシウムスコアは,米国の主な 4 つの人種・民族集団において,冠動脈性心疾患発症の強力な予測因子であり,標準的な危険因子が提供する予測情報を上回る情報を提供する.カルシウムスコアの予測能には,人種・民族集団による大きな差は認められなかった.