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January 10, 2008 Vol. 358 No. 2

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著明な心電図再分極異常を示すスポーツ選手の転帰
Outcomes in Athletes with Marked ECG Repolarization Abnormalities

A. Pelliccia and Others

背景

鍛えられた若いスポーツ選手の中には,構造的な心疾患の所見はないが 12 誘導心電図で異常を示す選手がいる.そのような心電図パターンが,長期的な有害転帰の可能性を有する潜在的心疾患の初期症状であるのかどうかは明らかにされていない.われわれは,著明な再分極異常を特徴とする心電図を示すスポーツ選手を対象に,その長期的臨床転帰を評価した.

方 法

鍛えられたスポーツ選手 12,550 人のデータベースから,明らかな心疾患がなく,平均(±SD)9±7 年間(1~27 年間)に連続して臨床検査,心電図検査,心エコー検査を受け,広範に分布した深い陰性 T 波(少なくとも 3 誘導で 2 mm 以上)がみられる 81 例を同定した.同一データベースの心電図が正常なマッチさせた対照スポーツ選手 229 人と比較を行った.

結 果

心電図の異常を示したスポーツ選手 81 例中,5 例(6%)は最終的に心筋症であることが明らかになった.うち 1 例は,臨床的に検出できなかった不整脈原性右室心筋症により 24 歳で突然死した.生存している 80 例中 3 例で,12±5 年後(それぞれ 27 歳,32 歳,50 歳時)に肥大型心筋症の臨床的および表現型の特徴が発現し,うち 1 例は心停止をきたしたが回復した.5 例目は,9 年間の追跡期間後に拡張型心筋症であることが明らかになった.これに対し,心電図が正常なスポーツ選手 229 人では,初回評価後 9±3 年間で心イベントを発現した例や心筋症の診断を受けた例はなかった(P=0.001).

結 論

一見健康な若年スポーツ選手における著明な心電図の異常は,潜在的な心筋症の初期症状である可能性がある.このような心筋症は,何年もあとになって明らかになる場合があり,最終的に不良な転帰と関連する可能性がある.異常な心電図パターンを示すスポーツ選手は,継続的に臨床的サーベイランスを受けるべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 152 - 61. )